札幌の中心地に広がる大通公園は都会のオアシスとして市民にも観光客にも親しまれています。冬が終わり暖かくなるとこの公園に登場するのが、とうきびワゴン。 とうきびワゴンとは大通公園で展開する屋台のことで、札幌の風物詩にもなっています。この記事では、大通公園ととうきびワゴンの歴史などを紹介していきます。
大通公園ととうきびワゴンの始まり
明治2年に北海道開拓史が設置された際、北側を官庁街とし、南側を商業街と住宅街にしようということになり、その中心に火防線の役割を担う大通公園が整備されました。造園計画が始まったのは明治42年、第二次世界大戦中は計画が休止したものの、戦後徐々に散歩を楽しめるような公園に変化していきました。
大通公園にとうきび販売が登場した時期は、明治17年頃と言われています。愛媛県から入植した重延テイさんは開墾に励みつつ、家計を支えるために春は山菜を、9月に焼きとうきびを販売していました。開拓が始まったばかりの時代に、移動手段は自分の足だけです。重たい荷物を持って、毎日のように50分ほどかけて「通勤」していたのです。当時とうきびは子どものおやつとして人気で、テイさんの焼きとうきびは多くの人に愛されたと言われています。それを真似て他のお母さんも焼きとききびや茹でとうきびを販売するようになり、一時期はワゴンが連なってお祭りのような雰囲気になっていました。
季節限定で楽しめる札幌の風物詩
長い冬を終え、雪まつりの雪像作りのために各所から集められた雪山が全て溶け終えるのは、例年4月上旬頃でしょうか。4月下旬になると桜と梅、レンギョウなどが咲き始め、やっと春が来たかと言わんばかりに他の草花も一気に芽吹き始めます。ライラックの開花は桜が散ってからで、例年5月中旬頃ですが、「さっぽろライラックまつり」が始まるのは一足早い4月22日頃です。とうきびワゴンもこのときに登場します。これは市民にとって春を告げる風物詩のようなもの。同時期に幌馬車も冬期休業を開け、カッポカッポという馬の足音を響かせます。
とうきびワゴンからは醤油の香ばしい香りが立ち上り、お腹が空いていなくてもついつい買ってしまうという人は多いです。とうきびは基本的に北海道産を使い、真夏は冷凍品から生のものが使用されます。醤油味の焼きとうきびと茹でとうきびの他、とうきびとじゃがバターがセットになったとうきびセットなども販売されます。北海道と言えばじゃがいも王国。皮付きのまま丸ごと蒸したじゃがいもは栄養を逃さず、旨味がぎゅっと詰まっています。
ゆるキャラも人気!近くの二条市場も覗いてみて
市民の風物詩として愛され続けているとうきびワゴンも、何度か存続の危機に立たされてきました。民営化するなどして、努力を続けている状況です。その努力の一つが、とうきびを模したゆるキャラのきびっちの採用です。大通公園には同じくゆるキャラのテレビ父さんもいるので、2人のコラボを見に出かけてみるのもおすすめです。近年、テレビ塔の横に流れる創成川は散策できるよう整備され、綺麗になりました。大通公園の少し先には、100年以上続く二条市場があります。
こちらも大通公園ができた頃に、石狩浜の漁師が魚を持ってきて販売を始めたのが始まりと言われています。蟹や鮭など北海道の海の幸が並び、観光客に人気のスポットです。創成川より東側のエリアは創成川イーストと呼ばれ、オシャレなカフェなどが集まるようになってきました。市場の片隅にあるのれん横丁には、味わいのある食堂や居酒屋が集まっています。昼は市場とカフェを巡り、夜はのれん横丁ではしご酒、というのもオツですよ。また、隠れ家的な店がある狸小路も近いので、食い倒れツアーもアリでしょう。
青空の下で頬張るとうきびの美味しさ
北海道らしい空気感を都心で味わえる大通公園は、とうきびワゴンと幌馬車が登場し、噴水の通水も始まる4月下旬から晩夏までがおすすめの季節です。テレビ塔を眺めつつ、とうきびやじゃがバターを頬張ってみてはいかがですか。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 札幌市・大通公園で販売されている「とうきびセット」とは、トウモロコシと何のセット?
A. じゃがバター