水羊羹ながら冬の味覚として親しまれている、福井県大野市の甘味とは?

水ようかんと聞くと、夏の暑い日に冷たく冷やして食べるイメージを持っている方が大部分でしょう。ところが、福井名物に冬におすすめの水ようかんがあるのです。福井を訪れたら、一度は口にしたい、そんなスイーツです。

おこたとみかんと水ようかん

福井では水ようかんなのに、夏でなくなぜか冬の味覚として、こたつにあたりながら食べる風習があります。「おこたとみかんと水ようかん」という福井の冬のスタイルは、庶民の代々慣れ親しんだ風景だそうです。福井の水ようかんは別名「でっち羊羹」といわれます。その由来は、京都に丁稚奉公に行っている丁稚が、正月の里帰りの際に水ようかんをお土産として持たせてもらったのがはじまりだとか、奉公先の羊羹を作り直されて、丁稚用の羊羹として広まったとか諸説あるようです。

でっち羊羹をなぜ冬に食べるようになったかというと、餡が高級だった時代に、餡を薄めて羊羹を作り、庶民の手に届く和菓子にしたのですが、そうすると糖度が低くなってしまい、長持ちしなくなってしまいました。それで、福井では冷蔵庫のない時代に夏に水ようかんを食べることができず、冬に食べる習慣がついたといわれます。京都や岐阜、滋賀県などでも冬に水ようかんを食べる風習が残っています。

福井県大野市のでっち羊羹まつり

福井県大野市はでっち羊羹で有名なところです。ここで2月に水ようかん好きにおすすめのイベント、その名もずばり「でっち羊かんまつり」が開催されます。この祭りは大野商工会議所が主催として行われ、出店している様々なお店の羊羹を試食、購入することができます。でっち羊羹は紙箱に入っていて、ヘラですくって食べるようになっています。甘さ控えめなので、飽きがこず、病みつきになること間違いなし。食品添加物や保存料も入っていないので安心して食べられます。そのため、賞味期限も短いので、おいしいうちに早めに食べることがおすすめです。無添加で賞味期限が短いから、そういう意味でも冬に食べるのがふさわしい羊かんなのかもしれませんね。

それぞれの和菓子屋さんで、こだわりの味が違い、砂糖でも白砂糖、黒砂糖、グラニュー糖など店によって違います。餡の配合も違い、白あんをつかったり硬さが違っていたりオリジナリティが出ています。でっち羊羹を食べたいけど、忙しくて行けないという方。どうぞご安心ください。通販でも購入することができます。「福井でっち羊羹通販」で検索するといいですよ。

食べるだけじゃもったいない、大野市の観光

大野市に行ったら、まず訪れてもらいたいのが、大野城です。織田信長の武将である金森長近によって天正4(1575)年頃に5年余りの歳月をかけて築城されたといわれています。天守閣は昭和43(1968)年に再建されました。今は歴代城主の遺品が展示されている資料館となっています。JR大野駅から徒歩30分で行けるという立地の良さです。この城は特に天空の城として有名で、雲海に浮かぶ城はこの世のものと思えないほど、幻想的です。雲海に浮かぶ城が見られるのは10月~4月までの時期で、前日の湿度が高く、朝風弱く冷え込む日で、見えるときは明け方から午前9時ごろまで見えます。年に10日程度しか見ることができないので、見られたらラッキーかも。

大野市はこのほか、街も城下町の面影も今に残しています。金森長近は京の町をモデルにして碁盤の目状に道を作り、町の東側に寺町を作り、寺院をまとめました。今は寺町という名前はありませんが、多く集められた寺院は当時の名残をしのばせてくれます。古くからというと、七間朝市通りもその名の通り、今も朝市が400年の昔から引き継がれています。ここでは春分の日から12月まで農産物の直売市がたてられ、地元の新鮮な野菜が売られています。また、週末や休日には「越前こぶし組」と呼ばれるボランティア団体が人力車で観光ガイドをしながら観光客を乗せて町を走ります。

でっち羊羹でお腹も心も満足させて、大野市を堪能しよう

いかがでしたか。和菓子屋さん心づくしのでっち羊羹に舌鼓を打ちながら、古くからの街並みや伝統を大切にしてきた、情緒あふれる大野市を歩いてみませんか。都会の喧騒を忘れて、一息つけますよ。リフレッシュすること間違いなしです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 水羊羹ながら冬の味覚として親しまれている、福井県大野市の甘味は?

A.でっち羊羹