青森県黒石市の変わり種ご当地焼きそばとは？

日本各地、ご当地グルメと呼ばれるものがありますが、その中でも焼きそばをアレンジしたグルメも多く存在します。青森県黒石市にも、名物焼きそばと言われるものが存在していますが、これがまた、変わった焼きそばなのです。一体どんな焼きそばなのでしょうか。

焼きそばなのにスープに入っている

つゆ焼きそばのルーツには諸説ありますが、その中でももっともらしい、とされているのが「間違い説」です。昼時、多忙過ぎた食堂のスタッフがソース焼きそばとラーメンを提供するつもりが、ラーメンの麺を茹でている時に間違ってラーメンのスープにソース焼きそばを入れてしまったというミスから誕生したと言います。それを見かねたのか、あるいは面白がったお客さんが間違いから生まれた未知の組み合わせ「つゆ焼きそば」を口にしたとき、存外に美味しい、と唸ったことからリピーターが現れたと言います。噂が広まって次々に注文するお客さんが現れ、食堂の看板メニューとなり、近隣の店舗にじわじわと広がったことで青森県黒石市を代表するメニューとまで呼ばれるようになりました。

こんな独特の経緯で誕生した変わった焼きそばですが、決まったスタイルというものが存在していないのか、ソース焼きそばを醤油ラーメンのスープに浮かべる、という要領さえ押さえていれば多少のアレンジは自由である、という点も魅力的です。例えば、青森県黒石市の中心街「こみせ通り」にある「すずのや」さんではソース焼きそばとスープが別々に出てきて、客の裁量でスープをかけて楽しむスタイルです。反面、「妙光食堂」さんでは既にソース焼きそばがスープに浸った状態で出てきますし、揚げ玉やネギなどの薬味も豊富です。それぞれの店ごとにスタイルがあるので、店巡りする楽しみもあるでしょう。

お土産用で、自宅で楽しめるつゆ焼きそば

つゆ焼きそばの特徴はモチモチの太くて平たい麺と、濃厚でドロッとしたソース、それからさらっとしたスープの組み合わせですが、本家の味を再現しようとするとこれらの食材を揃えるのは骨が折れます。しかし、それでも自宅でつゆ焼きそばを楽しみたい、という方のためにお土産としてつゆ焼きそばのセットが販売されています。自宅で麺をソースで炒め、スープをかければあっという間に完成です。ネギや紅ショウガなどの薬味をつけてオリジナリティを出せる楽しみ方も出来ます。

この持ち帰り用のつゆ焼きそばセットですが、全国どこでも手に入るわけではなく、青森県の空港や駅であっても扱っていないケースがあるため、黒石市のお土産屋さんで買い求めるのが最も確実です。実際に青森県黒石市に足を運んだらつゆ焼きそばの店で舌鼓を打ち、本場の味を楽しんでから、この感動を持ち帰りたいと思った方は現地で買い求めてしまうのがいいでしょう。家に帰ってから友人や家族に味わってもらいたい、という方にもピッタリです。

黒石市はつゆ焼きそばを中心に町興しをする

黒石市はそれまで「こけしの町」として知られていました。かつては億の予算を投じて観光資源として純金のこけしを作成するなど、観光資源の中心はこけしでした。現在でもこけし記念館などの施設があり来場者を楽しませていますが、そんな黒石市が次にプッシュしたのがつゆ焼きそばです。市内つゆ焼きそばマップ、なる観光マップを作成し、つゆ焼きそばを提供している店を一覧にまとめています。つゆ焼きそばを食べに黒石に遊びに来て、という形で観光客を誘致しています。市内でイベントが行われる際には、ゆるキャラである「つゆヤキソバン」というご当地キャラクターが登場し、花を添えるなど今や青森県黒石市の観光の中心にはつゆ焼きそばがあるのです。