「食用菊」と聞くと、だいたいの人は「ああ、あのお刺身にのっている黄色いやつか」と想像するでしょう。山形県の特産品である食用菊は、その見た目からネーミングまで、気になる秘密がいっぱいです!
黄色いじゃない食用菊
「もってのほか」は、一般的に知られている黄色い食用菊とは違い、鮮やかな紫色をした大ぶりの見た目が特徴の山形県の特産品です。菊というと、「料理の添え物」というイメージが強いですが、この「もってのほか」はこの一品で日々の食卓がパッと華やかになる優れものなんです。
では、一体どんな味がするんでしょうか。「もってのほか」の花弁は噛むとシャキシャキとして、少し後に菊の上品な香気が口の中いっぱいに広がります。野菜に混ぜても相性がいいので、サラダの具に加えると、色味も鮮やかになっていいかもしれません!また熱湯にサッとくぐらせた「もってのほか」を酢やすりごまで和えたものも、小鉢で出せば雰囲気のある本格的な和食によく合います。食用菊が、こんなにバラエティに富んだ食べ方ができるなんて……知っておくと「料理通」とご近所さんに自慢できること間違いなしです。
なぜ、こんなに変わった名前なの?
「もってのほか」という商品名、とても独特で、インパクトがありますよね。実は、「もってのほか」は正式には「延命楽」と言う名前で生産されているそうです。こちらの名前もなんだか体に良さそうで素敵なのですが、一体なぜここから「もってのほか」という名前で親しまれるようになったのでしょうか。実は、これにはいくつかの説があるらしく、有力なのは「天皇家の御紋を食べるなんてもってのほか」という事からきている、とする説と、「もってのほかおいしい」からきているとする説があるようです。どちらにせよ、なんだかすごく贅沢なものを口にしているようで、ますます食用菊への憧れが強まりますね。
食用菊は和製エディブルフラワー?菊の効能とは
近年、「エディブルフラワー」という食用の花を使ったババロアなどのスイーツや、カラフルで可愛らしい紅茶が注目を集めています。実は「もってのほか」をはじめとする食用菊も、このエディブルフラワーに該当しているんです。エディブルフラワーを料理に用いる目的としては、主に見た目部分、つまり彩りを鮮やかに見せ、料理をよりゴージャスに見せるというものが大きいでしょう。「もってのほか」も、花弁の濃い紫色がとても美しく、日本的な印象を与えてくれるので、海外の観光客を中心に大々的なブームが巻き起こる可能性があると言えます!
では、食用菊の魅力は見た目だけなのか?もちろんそんなことはありません。というのも、元々お刺身などの生鮮食品に菊の花を添えるようになったのには「食中毒を防ぐため」という理由があります。日本人は生魚を食べる民族である以上、どうしても食中毒が心配になりますよね。なんと、菊の花に含まれている「グルタチオン」という成分には、食中毒の原因となる毒素を分解する働きがあるそうです!つまり、ちゃんと実用的な理由に基づいて食用菊という文化は始まったのです。
しかし、「食用菊をどうやって食べたらいいのか分からない!」という方も多いでしょう。おススメの食べ方としては菊を単体でそのままパクッと食べるのではなく「花弁をちぎって醤油の中にパラパラと散らす」という方法があります。そこにお刺身をひたせば、菊の香りがほんのりと楽しめるだけでなく、しっかりと食中毒対策をすることもできます。「もってのほか」はそのままでも十分楽しめる食べ物ですが、生鮮食品に添えて安全効果を高めるのもいい使い方ですね。
見て楽しい、食べておいしい「もってのほか」
いかがでしたでしょうか?山形県名物「もってのほか」はその美しい見た目だけでなく、香りや味の良さ、健康面でも十分に効果のある多彩な食材です。ちょっぴり豪華な食卓を演出したいとき、気軽に使える食用菊で、料理をレベルアップさせてみてくださいね。
Q. 山形県で生産されている「食用菊」の名前は?
A.もってのほか