日本の食卓に欠かせない調味料のひとつ、味噌。実に多くの種類があり、地域よって様々な味噌があります。今回は、和歌山県の特産品として和歌山県推薦優良土産品に指定されている味噌をご紹介しましょう。
金山寺味噌って?
金山寺味噌とは、普通の味噌のように味噌汁などの汁物に溶いて使う調味料としてではなく、おかずや酒のおつまみとしてそのまま食べられる「なめ味噌」の一種です。「径山寺味噌」の字を使うこともあります。米や大豆、麦の穀物原料を麹にし、なす、瓜、しそ、しょうがなどの野菜を漬け込んで熟成させて作られているので、栄養満点。塩分は6~7%前後で、マイルドな口当たりが特徴です。和歌山県だけでなく、静岡県、千葉県でも生産されており、千葉県では特産品、推奨土産品とされています。
金山寺味噌の由来
名前からして古い歴史がありそうな金山寺味噌。由来は諸説はありますが、有力とされているのが、和歌山県由良町にある興国寺に伝わったと言われているものです。遡ること750年以上の鎌倉時代、1249年に法燈国師(ほっとうこくし)覚心が中国へ渡って、径山寺(きんざんじ)で初めて口にしました。その味に感動し、金山寺(正しくは鎮江府金山竜遊江寺)に入り、作り方を学び、1254年に製法を持ち帰ったといわれています。
覚心は、和歌山県湯浅町は交通の便が良く、水質が醸造に向いていることに着目し、由良の興国時を建設して金山寺みそを伝えました。さらに、村民に金山寺味噌の製法を教えているときに仕込みを間違え、桶の底に出来上がった液体と上澄の液体が偶然にもおいしかったことから、「しょうゆ(たまりしょうゆ)」が誕生したとされています。
また別の説として、高野山真言宗の開祖である空海(弘法大使)が、遣唐使として唐へ赴いた際、唐の金山寺から持ち帰って、高野山開山後に修行僧のための「僧坊食」として用い、その後、修行僧が各地に広めたとも言われています。
金山寺味噌の食べ方
金山寺味噌は、ホカホカごはんやきゅうり、冷奴にのせて食べるのはもちろん、本場の和歌山では、番茶やほうじ茶で炊いたお粥「茶粥」(「おかいさん」と呼ばれます)に添えていただきます。また、金山寺味噌とマヨネーズを同量混ぜ合わせた「金山寺味噌マヨ」は、ディップやサラダにぴったり。マヨネーズでまろやかになって、コクも増します。添えられる野菜はきゅうりが定番ですが、大根を薄く切って、金山寺味噌を挟むと見た目もおしゃれなおつまみになります。また、調味料的な使い方として金山寺味噌でお肉や魚を漬け込むと、味がしみ込みジューシーで風味豊かな味わいになります。
金山寺味噌の栄養と効能
金山寺味噌は、糖質の代謝を助けてエネルギーを作ったり疲労回復に役立つビタミンB1や、細胞の新陳代謝に役立つビタミンB2、また脳神経を正常に働かせるのに必要なナイアシンやビタミンB6、動脈硬化を予防してストレスを緩和する働きを持つパントテン酸、そして、貧血を予防し、新しい赤血球をつくり出すために欠かせないビタミンである葉酸など、実に多くの栄養素が含まれています。おいしく活用したいですね。
金山寺味噌の保存と賞味期限
保存食のために作られた金山寺味噌ですが、近ごろは塩分控えめでうす味のものも多く、保存性は商品によってそれぞれ違ったりします。一般的には、賞味期限は3ヶ月程度と言われていますが、色が濃くなったり堅くなってしまったり、風味が落ちたり味が変わってしまうこともあるので、なるべく早めに食べ切る方がよいでしょう。蓋をきちんと閉めて冷蔵庫の中で保存しましょう。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 「和歌山県推薦優良土産品」にも指定されている、和歌山県特産の味噌は?
A. 金山寺味噌