深みのある鉄板で牛ホルモンを煮込んで作る、山口県下関市の郷土料理は?

山口県・下関のグルメと言えば? と聞かれたら、全国的にも有名なフグを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし下関には、この地が発祥の半世紀以上前から食べ続けられ、地元の人々に愛されているソウルフードもあるのです。

下関で生まれた「とんちゃん鍋」

「トンチャン」とは韓国語で「腸」を意味する言葉。「とんちゃん鍋」とは甘辛い味噌ベースのタレにホルモンを入れ、その上に大量の野菜を重ね、野菜から出る水分だけで煮込んだスープで作る鍋料理のことです。ホルモンのぷりぷりした食感は噛めば噛むほどに味が深まり、食事でもお酒のおつまみとしてもマッチします。鍋のシメには麺を投入して食べるのが地元流の食べ方だとか。栄養満点かつヘルシーなこの鍋は下関市内の焼肉屋でもよく見られ、各家庭でも作られることも多い下関ではおなじみの鍋なのです。

「とんちゃん鍋」の歴史

とんちゃん鍋は「リトルプサン」の別名でも呼ばれ、韓国系のお店が多く軒を重ねる下関の商店街「グリーンモール」発祥の鍋料理です。明治の終り頃から、下関には多くの韓国人が渡り、韓国コミュニティが誕生しました。当時はまともな仕事につくことも厳しく、苦しい生活が続きましたが、韓国での生活や食文化を活かし、さまざまな工夫をこらしました。廃材である鉄板を叩いて簡素な鍋に仕上げて、その鍋にホルモンやニンニク、唐辛子などを入れて作られたものが「とんちゃん鍋」の始まりと言われています。現在、とんちゃん鍋で使用されている底の浅い鉄板は、当時の鍋から改良されてできた専用の鉄板鍋です。

とんちゃん鍋を作って食べよう

下関まで行けないけど、食べてみたい! という人にはホルモン、タレ、野菜がセットになって通販で売られているので、気軽に作ることができます。鉄板の鍋があれば理想的ですが、すき焼き鍋などでもOKです。

作り方はとっても簡単。まずホルモンは冷凍庫から冷蔵庫に移して約8~10時間ほどかけて解凍します。解凍したホルモンは湯通しをして、ザルにあげておきましょう。このひと手間で余分な脂や、ホルモン独特のアクや臭みを取り除くことができます。野菜はセットになったものがあればそちらを使い、ない場合はお好みのお野菜を用意してください。キャベツやニラ、もやし、長ネギなどが良く合います。

熱した鍋にホルモンとタレを入れ、その上に用意したお好みの野菜をたっぷり重ねるように入れます。そして、中火で加熱。中火で野菜が柔らかくなるまで、ぐつぐつと煮込みながら、時々おはしで混ぜ合わせ、味を全体によく絡めましょう。

ホルモンに中まで火が通り、野菜がしんなりとしたら下関名物とんちゃん鍋の完成です。強火にするとタレの蒸発も早くなり、ホルモンも固く小さくなってしまうので注意してください。ホルモンは7~10分ほど煮込んでプルッとなったくらいが食べ頃です。食べ終わったら、シメはうどんやちゃんぽん麺がおすすめですが、ごはんを入れてもおいしくいただけます。ホルモンはコラーゲンたっぷりなので、食べた翌日はお肌がツヤツヤになっているかも!?

アレンジあれこれ「とんちゃん鍋」

とんちゃん鍋は、具材や調味料でバリエーション豊かに楽しめます。

例えば、キムチを入れた「キムチとんちゃん鍋」。もともと韓国系のお店から生まれた鍋ですから、キムチが合わないわけがありません。トマト缶とトマトを食べやすい大きさにカットして具材に加えれば、ちょっとしたイタリアン風に。辛味が欲しい時は唐辛子の代わりにタバスコを入れてみましょう。シメはぜひごはんで。とろけるチーズを上からかければ絶品のリゾットになります。カレー粉を加えれれば、また一味違ったとんちゃん鍋が味わえます。最初は通常のとんちゃん鍋を食べて、後ほど味変として入れるのも良いですね。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 深みのある鉄板で牛ホルモンを煮込んで作る、山口県下関市の郷土料理は?

A. とんちゃん鍋