素麺と言えば、夏に良く食べられる食材ですが、冬でもおいしく食べている方も多いのではないでしょうか。素麺の発祥の地・三輪(奈良県桜井市)の郷土料理でもあるこちらの料理をご紹介しましょう。
冬においしいにゅうめん
にゅうめんは素麺を温かいだしで煮て食べる料理です。にゅうめんは漢字では「煮麺」と書かれることもあり、その字の通りそうめんを煮たものです。昔から晩秋に入ると、そうめんの産地である三輪ではそうめんを煮たこのにゅうめんが食べられていました。三輪素麺には多くの種類がありますが、その中では製造から1年以上経過したコシのある涸物(ひねもの)と呼ばれる素麺が適していると言われています。
日本の麺食文化の原点そうめん
日本の麺食文化のルーツをたどればそうめんに至り、そうめんの歴史を遡れば、大和の国の三輪(現在の奈良県桜井市)で誕生した手延べそうめんに至ります。
今から1200年以上も昔、日本最古の神社・三輪山の大神神社(おおみわじんじゃ)で、ご神孫・大田田根子の子孫であり、827年に三輪族の氏上にも任ぜられた狭井久佐の次男である穀主朝臣が、飢饉や疫病に苦しむ民の救済を祈願したところ、神の啓示を受けました。啓示の通り、里の地に小麦を撒いて実った小麦を石臼で粉に挽き、湧き水でこねて延ばして細く糸状にしたものが、そうめんの起源と伝えられています。
三輪地方は、もともとお伊勢参りが頻繁に行われていたところでした。日本の各地からお伊勢参り(檜原神社(元伊勢神社:現伊勢神宮の前身)~長谷寺がお伊勢に行くルート)の途中で訪れた人々を魅了することとなり、その製法も伝えられていきました。そして、それぞれの地域へ製法を持ち帰った人々が作りはじめたと言われています。代表的なものでは兵庫県の『揖保乃糸』、香川県の『小豆島素麺』、長崎県の『島原素麺』、大矢知素麵、稲庭うどん、半田素麺など西日本から北日本まで全国各地に伝わり、その土地の風土にあったそうめんへと発展していき日本の伝統食へなったのです。
日本最古の神社、大神神社(おおみわじんじゃ)に参拝しよう
素麺発祥のきっかけともなった大神神社は、日本書紀にすでに大神神社の創建について書かれている日本最古の神社として有名です。現在でも本殿が置かれておらず、拝殿からご神体である『三輪山』を拝するという、古代から続く自然崇拝の古神道を守っています。
鳥居をくぐり、うっそうと木々が生い茂る参道を進むと、まず『祓戸(はらえど)神社』があるので立ち寄って体と心を祓い清めてからお参りしましょう。階段を登ると国の重要文化財に指定されている拝殿が現れます。ここから拝殿の奥にある『三ツ鳥居』を通して、ご神体の三輪山に手を合わせます。『三ツ鳥居』は『三輪鳥居』とも呼ばれ、明神型の鳥居を横一列に三つ組み合わせた独特の形式を持ち、こちらも国の重要文化財に指定されています。
大神神社は広い境内があり、他にも商売繁盛や酒造り、病気平癒、芸能・学業向上など様々なご利益がある神社があります。女性に人気の縁結びスポットも。拝殿から二の鳥居の方に戻って、参道の右手にある『夫婦岩』は二つの岩が仲良く寄り添っています。こちらの岩は「運命の赤い糸」伝説ゆかりの場所でもあり、縁結び・恋愛成就・夫婦円満にご利益があるとされています。
そして、拝殿に向かって左側にある参集殿には『なで兎』がいます。もともとは江戸時代から一の鳥居前にあった鉄灯籠の火袋を守っていたウサギでした。第二次世界大戦時に鉄灯籠は提出するように命じられましたが、ウサギは青銅製だったため保管されていました。このウサギを撫でれば運気がアップするといわれるほか、身体の悪いところを撫でると治るとも言われているので、多くの人々に撫でられピカピカになっています。
ザ・ご当地検定の問題
Q. そうめんをだし汁で煮込んで作る、奈良県三輪山麓が発祥の郷土料理は?
A. にゅうめん