京都の「まる鍋」って、何を使った鍋料理?

冬の定番料理の鍋。地方には、その土地の特産物を使った鍋料理もあるので、日本全体で100種類以上の鍋料理が存在すると言われています。多様性のある鍋料理ですが、今回はその中から、古くから京都に伝わる「まる鍋」を紹介します。

滋養強壮にぴったりの「まる鍋」

まる鍋が通称だということは知っていましたか?正式な名称は「すっぽん鍋」です。つまり、まる鍋とはスッポンが入っている鍋になります。なぜまる鍋と呼ばれているかというと、すっぽんの甲羅の形が丸く、そこからスッポンに「まる」という呼び名がついているためです。
まる鍋の作り方はシンプルで、スッポンを煮込み、醤油などで味を調えて、野菜を加えれば完成です。スッポンは甲羅、爪、胆のう、膀胱以外の部位は全部食べることができます。血液さえも、酒で割って飲めば滋養強壮によいという話です。まる鍋は、そんなスッポンをきれいに平らげるのにおすすめの料理なのです。スッポンはおいしい出汁が出るので、しめの雑炊は絶品と言われています。

スッポンが一番おいしくなるのは、秋から初冬になります。スッポンは水温が15℃以下になると水の中で冬眠をします。冬眠の前のスッポンは脂肪がたっぷりついているので、うま味がぎっしりと詰まっているのです。
スッポンは中国では漢方にも使われるほど栄養がある食品です。スッポンに含まれる主な栄養は、必須アミノ酸、コラーゲン、リノール酸、ビタミンB群、鉄などになります。アミノ酸は健康な筋肉を作るたんぱく質になり、コラーゲンは肌にうるおいを与えてくれます。また、リノール酸は、血液をサラサラにして動脈硬化や高血圧、心筋梗塞のリスクを軽減してくれる効果が期待できます。鉄も貧血予防に最適です。

専門店で食べるまる鍋は2000℃近い高温で炊き上げる

京都府でまる鍋を提供している店のなかには、コークスという石炭燃料を使って鍋を炊くところもあります。このコークス、火をつけるとなんと2000℃近い熱を出すのです。ただ鍋を作るのに、なぜこのような高い温度が必要なのでしょうか?その理由は、スッポンをおいしく食べるための昔の調理法が関係しています。昔はスッポンの養殖場などなく、池や沼などに住む天然のスッポンを捕まえて食べていました。天然のスッポンは泥のなかに潜んでいるので、調理の時には泥臭さを抜くためにできるだけ強力な火力で一気に熱を通していました。それが伝統となって今に伝わっているという説が有力です。
金属の鍋ではコークスの高温で溶けてしまい、普通の土鍋もあっという間に割れてしまいます。そのため、コークスを使う店では信楽焼きの分厚い土鍋を使っています。

スッポンがあれば家でも作れる

スッポンは日常の食卓にはなじみが薄い食材ですよね。ですが、情報インフラが発達した現在では、ネット通販から生きたスッポンをまるごと一匹購入することが可能です。スッポンを購入すれば家でもまる鍋を楽しめます。
スッポンのさばき方はネットで調べればわかります。しかし、自信がなかったりグロテスクなのが苦手という人は、最初から精肉されたスッポンを購入することをおすすめします。
スッポンは危険を感じると噛みつく習性があります。生きたスッポンをさばくときは十分注意してください。もし指をかまれたときは、無理やり引き離そうとせずに、スッポンを水の中に入れてください。

まる鍋は下準備が重要です。スッポン1匹に対して、6Lの水と200ccの酒、そしてショウガの欠片を2つ。これらの材料を大鍋に入れて、強火で沸騰させ、灰汁をとっていきます。灰汁がなくなったら中火にして約2時間煮ていきます。長く煮込むほど、スープにスッポンのうまみが移っていきます。甲羅は食べられませんが、いい出汁がとれるので一緒に煮込むことをおすすめします。また、スッポンの臭みをとるためにはショウガが重要な臭い消しになってくれるので、忘れないようにしましょう。2時間煮たらショウガを取り除いて、塩と醤油で味つけをします。最後に白菜や白ネギ、水菜などお好みの野菜を入れれば完成です。

「まる鍋」でスッポンの旨味を堪能しよう

縄文時代の集落跡からスッポンの骨が見つかった事例もあるように、スッポン食用の歴史は牛や豚に比べるとずっと長いことがわかります。まる鍋は、今ではなじみが薄くなってしまったスッポンの良さを再確認できる鍋と言えるでしょう。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 京都の鍋料理「まる鍋」といえば、何を使った鍋料理?

A.スッポン