仙台牛たんの付け合わせ「味噌南蛮」って、何の味噌漬け?

日本各地には様々な特産品がたくさんありますが、宮城県には味噌南蛮というものがあります。実は地元ではある有名な仙台名物の付け合わせとして非常に有名なのですが、あまり知られていません。ここでは味噌南蛮がいったいどのようなものなのかご紹介します。

味噌南蛮とはどのようなものか

味噌南蛮とはすりつぶしたトウガラシを味噌漬けにした調味料のことで、味噌の風味の中にピリッとくる唐辛子の辛味が牛タンに合うことから、宮城県では主に牛タンの付け合わせに使われるほか、焼きおにぎりの具材に使われるなど非常にポピュラーな調味料です。宮城県のものは青唐辛子と呼ばれる未熟なトウガラシを使用し、仙台味噌と呼ばれる米麹と大豆で作られたた赤みそを使用していることが特徴です。材料さえあれば自宅でも簡単に作ることができ、通販や宮城県のスーパーマーケットには味噌南蛮が実際に販売されているため、宮城県内の家庭ではよく常備されています。

味噌南蛮が牛タンの付け合わせとなった理由

宮城県民の食事や牛タン定食には欠かせないものとなっている味噌南蛮ですが、もともとは宮城県で作られているものではありませんでした。なぜ、味噌南蛮が宮城県名物になったのかというと牛タンが大きく関係しています。宮城県で牛タンのレストランが開店したのは1948年の戦後間もない頃、当時仙台に駐留していたアメリカ軍が大量に残していた牛肉のタンとテールを有効に活用するために、仙台の焼き鳥店「太助」初代店主・佐野啓四郎が牛タン専門のレストランを出したのが始まりです。この頃には牛タン焼きや牛のしっぽの部分の肉を使用したテールスープ、浅漬けに麦飯といった現在の牛タン定食の原型が出来上がっており、既に味噌南蛮は牛タンの付け合わせになっていました。これらの具材は当時の燃料事情や食糧事情が大きく関係しており、例えば浅漬けは当時電気冷蔵庫が普及しておらず、生野菜が使えなかったからという戦後の事情が反映されています。しかし、味噌南蛮はそれとは少し異なり、「太助」の初代店主の故郷、山形県の郷土料理の味噌南蛮をそのまま付け合わせに加えたとされています。現在では誕生地の山形県よりも宮城県の方が味噌南蛮は有名ですが、現代でも味噌南蛮に使われるトウガラシは山形県産のものを使用するのが正規だとされています。

味噌南蛮と山形、宮城の関係性

このように味噌南蛮は山形県から宮城県に来て有名になった調味料ですが、宮城県自体も山形県の影響を大きく受けている県です。具体的には、宮城県が誇る英雄・伊達政宗を輩出した伊達家が挙げられます。現在では伊達家は宮城県の武家として知られていますが、伊達家が宮城県に本拠地を構えたのは江戸時代と比較的新しく、それまでは山形県米沢市に本拠を構えていました。これは豊臣秀吉によって伊達家が米沢から仙台へ国替えさせられたことが理由です。実際は宮城県に国替えさせられる前に発生した国人一揆を陰で扇動していたことがバレたからという非常にしょうもない理由なのですが、それでもなんだかんだで江戸時代を通じて日本有数の大大名として日本に勢威を轟かしました。

さらに、宮城県では夏に山形県発祥の冷やしラーメンがよく食べられており、休日には山形県までドライブに出かける宮城県民が多く、冬はスキーシーズンでありながら山野の雪が深くて山形に行けないから家の中でじっと過ごす人が大多数とも言われています。仙台名物の牛タン定食に山形県の郷土料理であった味噌南蛮が使われているのも、古くから宮城県と山形県のつながりが非常に深かったことを窺い知ることができると言えるでしょう。

牛タンの付け合わせバリエーション

牛タンの付け合わせとしては、さっぱりとしたものや酸味のあるものが特に相性が良いです。大根のサラダ、きゅうりの浅漬け、またはレモンを添えた鶏むね肉のグリルなどが考えられます。特に、シャキシャキのキャベツの千切りやキャベツのサラダは、牛タンのジューシーさを引き立て、食事のバランスを整えるのに最適です。

また、牛タンに合うスープとしては、クリアなスープや塩味のスープがおすすめ。ネギや白菜をたっぷりと入れた和風の塩スープは、牛タンの濃厚な味わいとの相性が抜群で、献立の一部として取り入れることで、食事がより豊かになります。

宮城県に行って味噌南蛮を食べてみよう

味噌南蛮はその絶妙な辛さから、最近では牛タン定食を頼んでも味噌南蛮は別で頼まないと提供してくれないお店も増えてきています。しかし、本来味噌南蛮は牛タンに欠かせないものですから、ぜひ仙台で牛タンを食べる際は味噌南蛮も一緒に食べてみてください。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 仙台牛たんの付け合わせ「味噌南蛮」とは、どんなものの味噌漬け?

A.トウガラシ