自然薯を使った、静岡県の郷土料理である「掛川とろろ鍋」をご存知ですか?そもそも「自然薯」をよく知らないという方もいるかもしれません。大和芋や長芋との違い、栄養面などに触れ、自然薯の魅力についてご紹介します。
自然薯について、詳しく知っていますか?
「自然薯」はヤマノイモ科で、「ヤマノイモ」を正式名称に持つ、日本原産の野生種です。別名として「ジネンジョ」や「ヤマイモ」と呼ばれ、漢字では自然に生える様子から「自然生」とも書きます。自然薯はあくまで山に自生しているものを指すため、畑で栽培されている「長芋」や「イチョウ芋」、「大和芋」などとは別物です。長芋や大和芋、自然薯などをまとめて「ヤマイモ」と呼ぶことも多いですが、ヤマノイモ(自然薯)は粘りが明らかに強く、山菜の王者と呼ばれ、古くから滋養強壮食として親しまれています。
食用だけでなく、自然薯の根茎の皮を除いて乾燥させた生薬は”山薬(さんやく)”と呼ばれ、漢方薬として用いられています。
薬にもなる自然薯は、良質のでんぷん質やアミラーゼと呼ばれる酵素が豊富に含まれています。暑さや、冷たい飲み物の取りすぎて胃腸の弱る夏に食べると、食べたものを速やかに消化・吸収するため胃腸への負担を軽減できます。
またその他の栄養成分として主に挙げられるのが、カルシウム、鉄分、リンなどのミネラルやビタミン類です。細胞の増殖機能を助け、新陳代謝を高めるため、疲労回復や食欲増進、体質の改善や免疫力向上に効果があると言われます。
それだけではありません。研究によって自然薯に含まれる「ジオスゲニン」と呼ばれる成分に記憶力改善や、アルツハイマー病に効果があることが分かっています。またジオスゲニンは、ホルモンバランスに関係するDHEAを増やす機能があるそうです。
まさに山菜の王者、いいこと尽くしです。
自然薯を使った料理、いろいろ!
昔から自然薯がたくさん自生していた掛川では、自然薯を使った料理がよく食べられていて、市内には「とろろ専門店」が多くみられます。また調味したとろろをご飯にかけて頂く「とろろ汁」を、掛川では「いも汁」と呼ぶため、「いも汁専門店」と呼ばれるお店も多いようです。
掛川とろろ鍋は静岡県掛川市の郷土料理で、自然薯をふんだんに使った鍋料理です。皮が厚く、皮自体美味しくない長芋に比べ、薄くて皮まで美味しく食べられる自然薯は皮ごとすりおろして食べます。とろろ鍋も、皮ごとすりおろした自然薯が入ったとろとろふわふわ、熱々のお鍋で、ホッとする美味しさです。
ほかに自然薯を使った料理をいくつか紹介します。
ふわふわでとろとろな食感を活かし、卵と合わせた和風オムレツは、口の中でとろける食感がたまりません。卵だけで作るオムレツには出せない新食感は自然薯ならではです。
油との相性もいい自然薯。紹介した和風オムレツの変化形で、「落とし揚げ」もオススメ。自然薯の量を多めにし、適量を海苔で巻いて揚げたもの。めんつゆやワサビで食べるとお箸が止まりません。消化吸収に優れているため、さらっと食べられるのも嬉しいですね。
他にもすった自然薯といろいろな具材で作る蒸し物や、お味噌汁に加えるだけでも滋味深い一品になります。すらずにカットしてエビやホタテなどと一緒にガーリックソテーにし、ホクホク食感を楽しむのもいいですね。
意外とどんな食材ともケンカしないので、和風、中華風、洋風にとアレンジの幅が利きます。
変わったところではデザートとして、自然薯がプリンやワッフル、和菓子にも活用されているようです。
自然薯を使った郷土料理、静岡県の掛川とろろ鍋を是非!
疲労回復、滋養強壮、免疫力アップなど、スーパーフードの自然薯。掛川とろろ鍋はそんな自然薯を美味しく食べられる、静岡県の優しい郷土料理です。とろろ鍋だけでなく、様々な料理にアレンジできる自然薯。たくさん取り入れて健康な生活を送りましょう。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 地元の自然薯を使った「掛川とろろ鍋」といえば、どこの都道府県の郷土料理?
A.静岡県