毎日食べるお米、どうせならおいしいものが食べたいですよね。今、ブランド米は群雄割拠の時代。魚沼産「コシヒカリ」、秋田県産「あきたこまち」、宮城産「ササニシキ」等々…耳にしたことがある有名ブランド米から、山形県産「雪若丸」、青森県産「青天の霹靂」など最近になって誕生したお米までよりどりみどりです。
今回ご紹介する「仁多米」は、ご存知の方は少ないかもしれませんが、一度食べるとやみつきになるというおいしいお米。どこの都道府県で作られているでしょうか?
「東の魚沼コシヒカリ、西の仁多米」
「仁多米」とは島根県の東部、仁多郡奥出雲町で栽培されるコシヒカリの産地ブランドのこと。仁多米の特徴は何と言っても、つやとコシ。ふくよかな甘みが、ほおばった瞬間から口いっぱいに広がります。一度食べたら、もう他のお米が食べられなくなるという声が多いのも納得で「東の魚沼コシヒカリ、西の仁多米」と言われるほど高い評価を得ています。その確かなおいしさは数多くの賞を受賞しており、米・食味鑑定士協会が平成12年から開催している「米・食味分析鑑定コンクール」では、平成21年に特別優秀賞を受賞し、平成22~24年の間、金賞を連続受賞しています。また、日本穀物検定協会が開催している食味ランキングでは平成10年産米、15年産米が最高位「特A」に選ばれました。
仁多米のおいしさの理由
仁多米がおいしいのはちゃんと理由があるのです。まずは水。お米を育てる田んぼは「水田」というくらいですから、当然のことながらお米に必要なのは水です。奥出雲の大自然が育んだ源流水・雪解けの花崗岩から湧き出るミネラルたっぷりの岩清水が仁多米を育みます。そして、仁多郡内の田んぼはほとんどが昔ながらの棚田で先祖代々守りついだ肥沃な土壌であり、お米のおいしさをより引き出しています。この棚田は歴史と文化が残る特別な棚田で、国の重要文化的景観にも選定されています。そして、昼夜の温度差も外せない重要な条件。お米は昼間、太陽の光をたっぷり浴びて光合成でデンプンを作り、夜に穂に蓄えます。しかし、夜の気温が高いとせっかく蓄えたデンプンを消耗してしまうのです。稲の穂に実の入る時期である登熟期に昼の気温が高く、夜の気温が低いことがお米の旨味を作るのに非常に重要な要素となります。仁多郡内の水田は標高が300~500メートルあり、この条件に適応しているのです。
たたら製鉄と棚田の文化的景観
かつて奥出雲では質の良い砂鉄を多く産出し、たたら製鉄が盛んに行なわれ「たたらの里」として栄えてきました。砂鉄は、鉄穴(かんな)流しという独特の方法で山を切り崩し採取され、その跡地を棚田へと開拓していったのです。この跡地に開かれた広大な棚田は日当たりがとても良く、そのため「空田」とも呼ばれ、米どころとして根付いてきました。山あいに作られた多くの棚田は、現在も美しい風景が広がっています。先祖から代々受け絶がれてきた奥出雲の自然や水田が、おいしい「仁多米」を育んでいるのです。そして、平成26年には「たたら製鉄と棚田の文化的景観」として、国の重要文化的景観に指定されました。
手間ひまかけて生産される仁多米
仁多米が作られる棚田は山にあるので、平地の広大な田んぼのようにすべての作業を機械で行えるわけではありません。日々、天候をうかがい田んぼの水量の調節や、あぜ道や水田の除草、刈った稲は天日干しと手間がかかり、かつ手抜きもできない大切な作業。肥料には堆肥を使い、こういった一つ一つの手間によって、おいしい仁多米が作られているのです。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 西日本で屈指の良質米とされる「仁多米」はどこの都道府県のもの?
A. 島根