島根県の郷土料理に「めのは飯」があります。とある海藻を使ったふりかけご飯のようなものなのですが、その「めのは」とはいったい何を指しているのでしょうか?
島根の「めのは」は、ワカメのこと?!
島根県の北側は日本海に広く面しており、漁業が盛んです。イワシ、アジ、イカにトビウオ、ズワイガニなどさまざまな水産物が水揚げされています。
中でも、出雲地方の沿岸部ではワカメが獲れます。このワカメは、古来から伝わる伝統食材「板わかめ」として地域に根付いています。733年に完成した「出雲国風土記(いずものくにふどき)」にも記載があるほど古くから出雲の神事に使われていた「板わかめ」。この出雲地方では「めのは」とも呼ばれています。
刈り取ったワカメを水洗いし、葉の状態のまま板状に広げて乾燥させた「めのは」ですが、旬は春で、4月に収穫のピークを迎えます。春の新芽の柔らかいワカメを使うのが美味しさの秘訣です。パリパリと軽い食感、加熱などを加えていないワカメ元来の風味、そして天然の塩味と旨味がたまりません。
島根のふりかけご飯といえば「めのは飯」!!
そんな「めのは」は出雲地域の名産品となっています。酒の肴として、おやつとして、子どもから大人までそのままパリパリと食べるのが美味しい自慢の品です。
味噌汁やラーメンに入れると美味しさの引き立て役になりますし、遠火で炙りパリパリに割った「めのは」をご飯に混ぜた「めのは飯」は、地域では長く食されてきた郷土料理です。出雲地方でふりかけご飯といえば、この「めのは飯」を指すほどに親しまれてきました。味を加えず、本当に自然の味のままいただくという、素朴ながら磯の香りと食感がたまらない、食が進む昔ながらのおうちご飯です。
「めのは」は食物繊維や、アルギン酸、フコイダンなどの栄養素も豊富です。その理由は、海にあります。出雲地方の山間部には豊かな森林が生い茂り、幾つもの清流がその栄養を日本海へと注ぎます。栄養たっぷりの海で育まれた島根のワカメは、養殖物も天然物もミネラルが豊富です。
かつて島根の献上品として選ばれ、昭和天皇もお気に召したという「めのは」。松江市や出雲市ではスーパーなどで手に入れることができますが、この島根半島のワカメ漁は手作業であるため全国的な出荷はされておらず山陰周辺にしか出回らない代物です。島根県にお越しの際は特産品の「めのは」のチェックをお忘れなく。
宍道湖にはシジミが!隠岐にはアラメが!島根自慢の水産物!!
島根県の漁業ではさまざまな海の幸が獲れますが、県の水産物漁獲量の一番は、海のものではなく湖のものです。それは、日本海にほど近い宍道湖(しんじこ)で獲れる「シジミ」です。
そもそも「シジミ」の漁獲量自体、島根県が全国一位です。日本海同様に、島根の豊かな川の流れが注ぎ込む栄養豊富な宍道湖では、海水と淡水が混ざり合う汽水域に生息するヤマトシジミと呼ばれる種類が獲れ、全国各地に出荷されています。そしてこのヤマトシジミからさらに厳選された「宍道湖しじみ」というブランドも特産品とされています。肉厚で粒が大きく、佃煮などのお土産も人気です。
また、海に囲まれた隠岐(おき)地方では、ワカメや海苔などの多彩な海藻類が収穫できますが、特に郷土料理にも使われる「アラメ」が特産品です。そのでこぼことした荒く幅広の表面から「アラメ」と呼ばれており、他の海藻にはない独特の歯ごたえが特徴的です。調理方法は柔らかくなるまで煮ます。火を通すことで柔らかくなり旨味が広がるため、煮ものや和え物などに使われます。
「アラメ」を使った郷土料理で「隠岐アラメの炒め煮」というメニューがあります。とても手軽に作ることができて懐かしい美味しさです。作り方は、水で戻したアラメをニンジンや刻んだ油揚げなどと一緒にフライパンで炒めて、出汁で煮しめたらできあがりです。他にも、サラダや白和え、かき揚げ、炊き込みごはんなどの料理にも使われています。
島根の自然の恵みをぜひ召し上がってみてください。
ザ・ご当地検定の問題
Q.島根県の郷土料理「めのは飯」の「めのは」とは何のこと?
A.ワカメ