日本全国にはその土地由来の郷土料理というものがあります。それらは、その土地で作られる特産品を利用したものや逸話がもととなっているものなど様々です。今回はアワやクリを使った埼玉県秩父市の郷土料理ごを紹介します。
飛鳥時代の伝説が由来
その料理は「黄金めし」と呼ばれます。埼玉県の特に秩父地方の郷土料理です。誕生は非常に古く、およそ1300年以上は昔のこととされています。当時は飛鳥時代にあたり、慶運5年の頃、かつての武蔵の国である秩父地方において、日本で初めての銅が産出されました。非常に貴重な銅が産出されたことは、めでたいことであり報告と祝いを兼ねて都にある朝廷まで献上されることに決まりました。この出来事を喜んだ朝廷が年号をそれまでの慶運から和銅へと改元したほど喜ばしいことといわれています。また、この銅を使用して日本で初めての通貨が発行されたこともあり、日本の歴史においても重要な出来事と言えます。
朝廷へと銅を献上したのは荷役羊太夫でしたが、その過程は非常につらい道のりでした。秩父駒に銅を積み都にまで運ぶ旅路では、食べ物に難儀したといわれています。主に食べられていたものはアワやクリ、ヒエ、キビなどといった山のものが中心であり、都の帝が住まっている御所に到着した際も、キビめしを食べていました。その太夫たちが食事をしている場所に時の帝が通りかかり、キビめしに大きな興味を示したようです。当時の帝をはじめとした身分の高い人々は白飯を食べることが中心であり、キビめしを見たことがなかったことから非常に大きな興味を示したと考えられています。白飯しか見たことがなかった帝には、小さく淡い黄色いキビの混じっためしは、黄金色に輝いて見えました。
尋ねるだけではなく、一口与えるように従者に申しつけたところ、そのおいしさに感激し、「これはたいそう旨い、黄金のめしだ」と喜んだという伝説が、秩父地方には伝わっています。この伝説が由来となって黄金めしは誕生しました。黄金めしは埼玉県の郷土料理として祝いの席や祭事の際の御膳に使われるようになっています。また、学校給食の郷土料理特集などの際にも登場するご飯で、特別でめでたい日に用いられる食事です。
黄金めしの作り方
黄金めしは、埼玉県の秩父で収穫したアワやヒエ、キビ、クリなどといった穀物と米を合わせてだし汁で炊いた郷土料理です。黄金めしが誕生した当時は、だし汁などを使うことはありませんでしたが、現代風にアレンジされて、様々な味付けがなされています。各家庭で作られるものなので、合わせて炊くだし汁の風味によってさまざまな味を楽しむことができます。また、秩父にある飲食店の一部では黄金めしを出しており、温泉水で炊くなどといった工夫がなされているので、それぞれの違いを楽しんでもよいでしょう。
作り方は非常に簡単で、アワやヒエ、クリ、キビなどと共に米とだし汁を合わせて炊くだけです。材料を用意して炊飯器で炊くだけなので難しくありません。それぞれの穀物が淡く黄色に色づいて、黄金色に見えたら完成です。小さな穀物のぷちぷちとした食感とクリの甘さ、だし汁の風味がマッチして非常においしいです。
観光にもおすすめの秩父
埼玉県の秩父地方は、埼玉県の中でも北西部に位置しています。非常に自然に恵まれた地域であり、文化財となっている施設も数多くあるほか、温泉もあり、観光目的で訪れるにも魅力的な地域です。黄金めし以外にも様々なグルメ・郷土料理が存在しており、それらを楽しむための観光として訪れても楽しいでしょう。
歴史ある黄金めし
埼玉県の秩父地方は、自然豊か・歴史深く、観光地として非常に魅力的です。また郷土料理として、長い歴史をもつ黄金めしをはじめとして様々あります。おいしいグルメを楽しみつつ、秩父の観光を楽しんでみてください。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 埼玉県秩父市の郷土料理である、アワやクリなどが入ったご飯を何という?
A.黄金めし