京都にエビイモとボウダラを炊き合わせた名物料理があります。その歴史は古く、なんと300年という長さです。この記事では、その料理の紹介や簡単な作り方、さらに生まれた歴史をまとめました。
エビイモとボウダラを炊き合わせた料理
いもぼうとは、エビイモ(サトイモの一種)とボウダラを炊き合わせた京都府を代表する名物料理。その歴史はなんと300年という長い年月を誇ります。エビイモとはサトイモの一種で、九州で作られていたトウノイモが原型だと言われています。エビイモは黒い縞模様があり、土の重さで湾曲した形になるのが特徴。それらがまるでエビのしっぽを思わせるためにこの名前がつけられました。対するボウダラはマダラを素干しにしたもの。マダラは日持ちしにくい魚のため、保存食として古くから乾物として加工され、主に正月やお盆に食べられていました。
いもぼうは京都の家庭料理として良く知られていますが、エビイモは高級食材のため庶民はなかなか口にすることができません。そのため、多くの家庭ではエビイモの代わりにサトイモを使用することが一般的でした。京都の高級料理店では京都の代表的な料理としていもぼうをメニューに取り入れているところもあり、時代を超えて引き継がれてきた正統派のいもぼうを味わうことができます。
いもぼうは長い時間をかけて作られる料理
京都府の伝統料理であるいもぼうは、実は非常に長い時間をかけて作られます。材料のひとつであるボウダラは干物のため保存がききますが、とても硬くなっているのでそのまま食べることはできません。そのため、いもぼうにする時は何日もかけて水で戻して柔らかくする必要があります。同時に食べやすくするためにボウダラのあく抜きが必要です。浸している水をこまめに変えなければいけないので、とても手間ひまがかかるのです。ボウダラの身が完全に柔らかくなるまでには、なんと1週間から10日ほどかかります。
エビイモは厚めに面取りをした後、ボウダラと一緒のお鍋で丸一日炊き上げます。エビイモは煮崩れしやすいため、通常はボウダラのような乾物と一緒に炊くことはありません。しかし、エビイモから出るアクはボウダラを柔らかくし、ボウダラはエビイモの荷崩れを防ぐ相乗効果があり、一緒に炊くことでさらにお互いのおいしさを引き出すことができるのです。このような料理の特徴から、いもぼうは別名「夫婦炊き」と呼ばれることも。二つの食材はとても相性がいいと広く知られています。
いもぼうが生まれた歴史とは?
先に述べたように、いもぼうは300年の歴史を誇る京都府の伝統料理です。エビイモが京都で栽培されたのは、江戸時代に青蓮院につとめていた平野権太夫という人物が、宮様が九州から持ってきたトウノイモを京都で栽培したのがはじまり。京都で育ったトウノイモは、独特の縞模様とエビのしっぽのように曲がったところから、縁起のいいエビにちなんで「エビイモ」と呼ばれるようになりました。ボウダラは当時宮廷への献上物であり、平野権太夫は両方を使った料理を考案し、できあがったのがいもぼうです。
海の幸のボウダラと山の幸であるエビイモを掛け合わせたことから、いもぼうは評判になり、やがて京都を代表する料理として京都府以外の人々にも広く知られることとなります。庶民の間ではサトイモを合わせて作ることもあり、家庭によってそれぞれ持ち味が異なります。正月やお盆に食べられることが一般的だったいもぼうですが、普段の食卓にも上ることも珍しくありません。何とも言えない深い味わいが魅力のいもぼうは、観光客が京都府を訪れたら一度は食べてみたい料理として不動の人気を誇っています。ぜひ300年の歴史を味わってみましょう。
いもぼうはエビイモとボウダラを炊いた京都府の名物料理!
いもぼうはボウダラを1週間以上前から水に戻して柔らかくするなど、しっかりとした下ごしらえが特徴の料理です。手間をかけている分だけ何とも言えない深い味わいが魅力で、その虜になる人も少なくありません。京都府を訪れたらぜひ食べてみましょう。
ザ・ご当地検定の問題
Q. エビイモとボウダラを炊き合わせた京都の名物料理は?
A.いもぼう
Q. 京野菜のひとつである「エビイモ」は、何の一種?
A.サトイモ