「遠野ジンギスカン」という料理を聞いたことがありますか?ジンギスカンと言えば北海道が思い浮かびますが、実は岩手県遠野市にも、古くから愛され続けている独特なスタイルのジンギスカンがあります。今回は、その遠野ジンギスカンについてご紹介します。
遠野ジンギスカンは独自のスタイル
遠野ジンギスカンの歴史は遡ること50年以上も前から始まります。ジンギスカン、と言えば七輪の上に山型の鍋をのせ、タレに漬け込んだ羊の肉や野菜を焼いて食べる、北海道スタイルのものが有名ですね。しかし、遠野ジンギスカンはちょっと違います。なんと七輪の代わりに金属製のバケツを用意!そのバケツの上に南部鉄器の鉄鍋をのせて焼く、という変わったスタイルなのです。見た目のインパクトは半端じゃありません。このバケツジンギスカンを、昭和30年創業のジンギスカン専門店「あんべ」がはじめたことから、遠野スタイルが確立したと言われています。
遠野では、昔から地域イベントがよく行われてきました。その際、あんべもジンギスカン用の食材や道具を配達していたのですが、遠野は四方を山に囲まれた場所にあり、山道を通らなければならなかったため、配達中に七輪が割れてしまう、というアクシデントが頻繁におきました。そこで、試行錯誤を重ねた結果、七輪の代わりに吸気口をあけたバケツを使う、バケツジンギスカンが誕生したのです。同時に、お店でもこのバケツとジンギスカン用の鍋を無料で貸し出すサービスを始めたところ大ヒットし、あっという間にバケツジンギスカンが遠野中に広まることとなりました。現在でも、野外でジンギスカンを行うときには、遠野市内のスーパーや精肉店でバケツと鍋を借りることができ、バケツジンギスカンは遠野市民のレジャーとして親しまれています。
また、遠野ジンギスカンはバケツで焼くことだけでなく、食べ方も北海道スタイルとは異なります。タレに漬け込んだ肉を焼くのではなく、まず鉄鍋の上で肉をよく焼いた後、タレにつけて食べます。焼肉のような感じです。ですから、あまりに慣れ親しんでいる味ということもあり、遠野市民が「焼肉を食べる」と言うと、それは遠野ジンギスカンを指すのだそうです。鉄鍋で焼いてから食べるジンギスカンは、脂が程よく落ち、よりヘルシー。かと言って食べ過ぎには注意したいところですね。
バケツでジンギスカン大会も!
そんな岩手県遠野市では、2013年より毎年6月頃、「バケツでジンギスカン大会」という遠野市後援のイベントが行われています。参加料のみで肉150gと野菜のセットが提供され、地ビールも用意されています。毎年、会場にはたくさんの人が来場し、開始から1時間ほどで予定提供数200食が売り切れてしまうほどの人気ぶり。地元で遠野ジンギスカンが愛されているというのがよくわかります。野外で食べるアツアツのジンギスカンとキンキンに冷えたビールの組み合わせは最高です!
遠野ジンギスカンが食べられる岩手県ってどんなところ?
遠野市のある岩手県は、北海道に次ぐ広大な面積を持つ県であり、魅力に溢れています。自然豊かで、歴史的な名所もたくさんある岩手県の魅力の一部をご紹介しましょう。
まず、遠野ジンギスカンを味わえる遠野市は外せません。遠野市は、民俗学者の柳田國男によって、岩手県遠野地方に古くから伝わる民話や伝説などがまとめられた『遠野物語』の舞台となる地なのです。いかにもカッパが出てきそうな神秘的な「カッパ淵」や、弁慶が持ち上げて岩の上に乗せたと言われている「続石」など『遠野物語』の幻想的な世界観を感じられるスポットがいくつもあります。
また、世界遺産にも登録されている平泉町は、浄土思想に基づいて造られた中尊寺などの寺院や庭園で構成されており、浄土思想の理想世界の表現を思う存分味わうことができます。
他にも国の名勝に指定されている宮古市の浄土ヶ浜や、国の天然記念物で日本三大鍾乳洞の一つでもある龍泉洞などは、自然の美しさに感動すること間違いなし。このように岩手県は、一度は訪れておきたいスポットがたくさんある魅力的なところなのです。
遠野ジンギスカンを食べに、岩手県へ行ってみよう!
珍しいスタイルの遠野ジンギスカンだけでなく、雄大な自然や歴史的名所なども思いっきり堪能することができる岩手県。非日常的な気分と、ひと味違うバケツジンギスカンの美味しさを味わいに、訪れてみてはいかがでしょうか?
ザ・ご当地検定の問題
Q. 岩手県の「遠野ジンギスカン」で使われる意外なアイテムといえば?
A.バケツ