北海道や東北の郷土料理で知られた「いか飯」は、イカの中にごはんを詰めた駅弁などでも人気の一品。「いか飯」があるなら「たこ飯」もあって、こちらも瀬戸内海沿岸地域の郷土料理です。いか飯と同じように、タコの中にごはんを詰めたものなんでしょうか。
「たこ飯」とは
「たこ飯」は ごはんをタコと一緒に炊いた「炊き込みご飯」です。今でも瀬戸内海では、良質のタコが水揚げされることで有名ですが、その歴史は古く、江戸時代からタコ漁が行われていたとされています。忙しい漁の合間に下ごしらえに時間がかからない簡単な「ごった煮」や「雑炊」を作り、漁が終わった後に野菜などの食材を加えて、炊き込みご飯として作ったのが「たこ飯」と言われています。
今では家庭料理や瀬戸内海周辺の名物料理にもなって、また「いか飯」と同じようにとても駅弁としてもとても人気があります。
たこ飯の作り方
タコのうまみがたっぷり感じられるたこ飯の作り方はとても簡単です。材料は、米、ゆでダコ、しょうが、万能ねぎ。調味料は、薄口しょうゆ、酒、みりん、顆粒和風だしを用意しましょう。
まず、ゆでダコは一口大、しょうがは千切りにします。炊飯器に米と切ったゆでダコと調味料を全て入れて、後は炊飯器にお任せ。炊き上がったら、よく混ぜて蒸らして出来上がりです。お好みで刻んだ万能ねぎを散らしましょう。
タコツボに入った駅弁が大人気
京阪神エリアの駅の売店などで売られているのが『ひっぱりだこ飯』という駅弁です。創業明治36年の老舗の弁当屋の『淡路屋』が、1998年に神戸・明石~淡路島間に架かった世界最長の吊り橋・明石海峡大橋の開通を記念し、山陽新幹線の西明石駅の駅弁として作ったものです。
この『ひっぱりだこ飯』の駅弁の特徴は、何と言っても独自に作られたタコツボ風の陶器。この陶器、明石が発祥といわれるタコツボ漁で使われるツボを模して、独自に焼き上げたこだわりの品です。深い茶色の落ち着いた色合いに、タコが描かれたツボ風の独特の形状の陶器はかわいらしく、食べる前からわくわくします。しっかり作られているので、食べ終わった後も家に持ち帰る方が多いのだとか。
もちろん味も絶品!フタを開けると、まず目につくのは大きなタコ。明石ダコのうま煮で、もっちりしているけど噛みやすく、食べやすくなっています。タコの他には穴子のしぐれ煮、錦糸玉子、菜の花やしいたけ、にんじん、筍の土佐煮といった煮物が、しっかりと味付けされた醤油飯の上にのっています。食べ進めるとツボの底からタコのすり身で作った丸いたこ天が顔を出し、最後まで楽しめるお弁当です。
色んなバリエーションがあるひっぱりだこ飯
このひっぱりだこ飯、実に色々な種類が発売されています。まずは『金色のひっぱりだこ飯』。累計販売数1,000万個を突破した記念に発売されました。金色に光り輝く陶器はプレミア感満載です。「金色があるなら、銀色があって然るべき!」という発想で作られたのが『銀色のひっぱりだこ飯』。もちろん陶器は銀色に輝いています。中身は銀色にちなんで銀鮭や銀杏が追加されているそうです。
この他にも、キティちゃんとコラボしたピンク色の陶器の『ハローキティ版ひっぱりだこ飯』や茶葉を一緒に炊き込んだ醤油飯の『伊右衛門版ひっぱりだこ飯』、真っ黒な陶器の『ゴジラ対版ひっぱりだこ飯』など、思わず全部集めたくなるようなバリエーションが揃っています。
タコツボ風のコーヒーカップ!?
『ひっぱりだこ飯』が入っているタコツボ風陶器そっくりのコーヒーカップも販売されています。『ひっぱりだこ飯』発売20周年記念商品として発売されたもので、タコの絵もそのまま、カップの取っ手がタコの足のデザインになっているというユニークな商品です。しかしながら、元々の深い茶色の色合いとタコツボの形状がマッチしていて、何だかおしゃれな感じも。遊び心もあってお土産にぴったりですね。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 「いか飯」はイカの中にご飯を入れた料理。では、瀬戸内海沿岸で食べられる「たこ飯」はどんな料理?
A. 炊き込みご飯