群馬県の郷土料理をご紹介します。神社へのお供え物として使われてきた歴史ある食べ物なのですが、その見た目と味から人によって好き嫌いがわかれる個性的な料理かもしれません。今回はそんな郷土料理を紹介していきます。
いったいどんな料理?
しもつかれは、刻んだサケの頭とすりおろした大根とニンジン、炒った大豆を酒かすで煮込んだ郷土料理です。サケの頭と聞いて驚く人もいるかもしれませんが、サケの頭は氷頭と呼ばれ、東北や北海道などで食べられています。しもつかれの歴史は鎌倉時代にまでさかのぼると言われています。当時の人々は、旧暦2月の初午の日にしもつかれを赤飯と一緒に神社にお供えをして一年の無病息災を祈っていました。サケの頭は旧正月の新巻鮭の頭、大豆は豆まきの残りを使っていたので、ご利益がある食べ物として期待されていました。栄養価も豊富で「七軒の家のしもつかれを食べると病気にならない」という言葉もあるほどです。群馬県の他に栃木県や茨城県の一部地域でも食べられています。
しもつかれは昔は保存食としての役割が大きかったと言われています。粕漬けという漬物があることからわかるように、酒かすには殺菌効果があり、冷蔵庫がない昔には保存料として活躍していたのです。食べ物の保存手段が確立されている今では、しもつかれは保存食としての色合いが薄くなっています。現在は出来たてを食べることも珍しくありません。しかし、地域によっては伝統にのっとり、出来立てを食べずに一度冷ましてから食べているところもあります。
しもつかれのレシピを紹介
しもつかれは家庭でも簡単に再現することができます。サケの頭はスーパーでは手に入りにくいですが、普通の切り身を代用しても作れます。4人分の材料は次の通りです。
サケの頭(もしくは切り身) 1つ、大根 1/2本、ニンジン 1本、大豆 40g、油揚げ 2枚、酒かす 150g、醤油 大さじ2、砂糖 小さじ2、塩 小さじ2。下準備として、大豆は一晩水につけて戻しておいてください。サケは頭を使う場合は臭みを抜くために、煮るか焼くかして火を通しておきます。作り方を順に説明していきます。
- 大根とニンジンの皮をむいてすりおろしていきます。おろし金は「鬼おろし」という特別な道具を使用するのが本場流ですが、なければ一般的なおろし金を使ってもいいです。すりおろして出た水分は煮るときに使うので捨てないでください。油揚げは細切りにして、サケの切り身を使う場合は4~5等分くらいにしておきます。
- 水で戻した大豆を炒っていきます。焦げ目がつくほど炒めたらOKです。
- すりおろした大根とニンジンを鍋で煮込んでいきます。火が通ったところで、サケと大豆、油揚げ、各調味料を入れて、鍋に蓋をして弱火で1時間ほど煮込んでいきます。途中で水分が足りなくなったと思ったら水を適度に足してください。
- しっかり煮詰めたら酒かすを入れてさらに10分ほど煮込んだら完成です。酒かすは焦げ付きやすいので火力には注意が必要です。
しもつかれを使った商品は意外とある
しもつかれは家庭の味にとどまらず、商品化されて一部地域のスーパーで取り扱われています。また、群馬県や栃木県ではしもつかれの味を再現した加工食品がつくられてきました。たとえば、餃子の町宇都宮を抱える栃木では、餃子の具材にしもつかれをつかった「しもつかれ餃子」を土産物として販売しています。2017年には、大手お菓子メーカーが新商品に関するアンケートを行い、ポテトチップスのしもつかれ味が期間限定で発売されたこともありました。このように、さまざまな商品に発展するほどしもつかれは支持をされている食べ物なのです。
自分の好みの食べ方をしよう
しもつかれは冷まして食べるのは伝統的な食べ方のようですが、温かいときのほうが酒かすのいい香りがしておいしいという意見もあります。しもつかれは好き嫌いの分かれる料理なので、自分に合ったお好みの食べ方で食べることをおすすめします。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 鮭の頭と野菜を刻んで酒粕で煮込んだ、群馬県の郷土料理は?
A.しもつかれ