「焼き鳥」といえば、串に刺さってるイメージですが、愛媛県に、串に刺さずに鉄板で焼く珍しい「焼き鳥」があります。愛媛県のとある市のご当地グルメとなっていますが、その市は一体どこでしょうか?
鉄板で挟み焼きをする?!愛媛・今治市の「焼き鳥」!!
今治タオルなどが有名な愛媛県今治市は、日本一のタオル生産を誇り、造船業も盛んです。瀬戸内海に臨んだ温暖な気候で、サイクリングの聖地であり、広島県尾道市とを結ぶしまなみ海道の起点にもなっています。景色が美しく人気の観光スポットです。
そんな今治市のご当地グルメは、60年以上の歴史を誇る「焼き鳥」ですが、一風変わった見た目をしています。串焼きではなく、なんと鉄板で焼いた「焼き鳥」なのです。アツアツの鉄板で鶏肉を混ぜるように焼き、上からさらに鉄板で蓋をして、豪快に挟み焼きをします。今治「焼き鳥」ならではのカリっとジューシーな仕上がりに、ビールも日本酒もじゃんじゃん進んでしまいます。
せっかちから始まった?!鉄板で焼く「焼き鳥」
元々養鶏も盛んであった今治市は昔から鶏肉がよく食べられていたそうです。それだけではなく、かつてはスズメや野鳥(小鳥)を捕まえて丸焼きにして食べる風習もあり、それを「焼き鳥」と呼んでいたのだとか。
現在の、鉄板で豪快に肉を焼く今治「焼き鳥」は、人気店の「五味鳥(ごみどり)」から始まったのだそうです。先代の店主が飲食店を開くための視察として大阪へ出ていた頃、レンコンの肉詰めを鉄板で焼いているのを見て、焼き鳥を鉄板で焼くことを思いついたのだそう。鉄板で焼くことで通常よりも早く焼けるということから、せっかちで待つのが苦手な商売人気質の今治の人たちに見事合致したのだそうです。やがてこの鉄板焼きでの「焼き鳥」店が今治市内では70店舗まで増えるほどの人気となりました。
鉄板の焼き鳥は「皮焼き」と呼ばれていますが、皮だけではなく、カシラやセセリなどいろんな部位のミックスになっていて食感も楽しいのが特徴です。
店舗それぞれで肉の配合も違えば、つけダレもこだわりの味付けになっています。あっさりとしたタレから濃厚なこってりタイプもあれば、おろしダレや甘辛のタレとバリエーションが豊富なので、ぜひ好みの店舗を見つけてください。
今治のゆるキャラ「バリィさん」も「焼き鳥」モチーフだった?!
ゆるキャラグランプリ2012で見事グランプリに輝いた、今治市のゆるキャラ「バリィさん」も実はこの今治の「焼き鳥」がモチーフでした。
黄色く、まるいボディにつぶらな瞳。来島海峡大橋(くるしまかいきょうおおはし)の王冠を乗せて、お腹にはタオル生地のハラマキを巻き、お気に入りの船の形のお財布を持っています。食べあるきが趣味で、焼き鳥とお酒が好物なのだそう。今治「焼き鳥」のPRに一役買った今治の人気者です。
ゆるキャラバリィさんの活躍もさることながら、人口あたりの焼き鳥店舗数が日本一だとして、平成11年3月には「焼き鳥日本一宣言」をした今治市。
同年8月には「今治ヤキトリ料飲組合」も結成され、毎年8月10日を「焼き鳥の日」と定めました。市をあげてのPRに、この今治「焼き鳥」がいかに地元の方に愛されているのかが伝わってきます。
合わせて食べたい「せんざんぎ」?!
今治で「焼き鳥」を食べるのであれば、「せんざんぎ」を追加で注文することもお忘れなく。「せんざんぎ」とは、パリパリさくさくの衣が堪らない今治の「から揚げ」のことで、こちらも今治ではマストメニューです。
「せんざんぎ」は下味をつけた、鶏のいろいろな部位の骨付き肉を使います。骨ごと揚げることで、加熱により骨から出た旨味が肉にしみ込んで、濃厚な味付けになり、さらにカラッと揚がったザクザクの食感が相まって人気の一品となっています。
この「せんざんぎ」は、今治を含む東予地方(とうよちほう)の郷土料理とされています。なぜ「せんざんぎ」と呼ぶのかは所説あります。
・鶏肉を千に切ることから「千斬切」と呼ばれた。
・かつてはキジ肉で作っていたことから「せんざん雉」という。
・中国料理の「軟炸鶏(えんざーち)」が由来している。
今治での焼き鳥の楽しみ方は「皮焼き」にはじまり、この「せんざんぎ」で終わるというのがまさにテッパンのメニューなのです。
瀬戸内の風と波の音の中、ビールを片手に美味しい「焼き鳥」を食べ歩いてみてはいかがでしょうか?
ザ・ご当地検定の問題
Q.串に刺さずに鉄板で焼く「焼き鳥」が名物の愛媛県の市は?
A.今治市