「味の札幌 大西」が発祥の「味噌カレー牛乳ラーメン」は、カップ麺として全国販売もされました。B級グルメというフレーズが生まれるずっと前から、味にうるさい県民の舌をうならせてきたソウルフードです。
県民のラーメン好きはデータにも
青森市は雪深いエリアであり、10月から4月くらいまでは暖房のお世話になります。そんな青森市民にとって、心と体を温めてくれる習慣はなんといっても温泉の利用です。市内はもちろん、近隣の市町村にも温泉が多いため、気軽に利用することができるのです。その温泉のぬくもりに勝るとも劣らないのがラーメンです。青森県民のラーメン好きは全国的なデータにも現れています。インスタントラーメンの購入量が全国トップであるばかりでなく、人口10万人あたりのラーメン店舗数もベスト5に入っています。
ただし、青森県でラーメンを食す場合は、ラーメン専門店だけでなく昔ながらの食堂でオーダーすることも多いのです。つまり、ラーメン店の数だけでは判断することはできず、実質的にはもっと多くの場所でラーメンを楽しめる県ということになります。なかでも青森市の店舗数は県内第1位で、味の札幌大西などのクラシカル店とトレンド店がしのぎを削っている激戦区なのです。
ソウルフードだからこそ
青森市は東北新幹線が利用できるため、本州ルートはもちろん、北海道から訪れる方も増えています。青森空港を利用してアジア各国からも観光客が増えている話題のスポットです。人気のイベントといえば、なんといってもねぶた祭です。東日本大震災後におこなわれた東北六魂祭でもそのスケールとリズミカルな響きを披露して復興への祈りを届けることはもちろん、多くの観光客を唸らせました。長い冬を乗り越えるからこそ、煌めく春を味わうことができます。そして、ようやく訪れた短い夏を思いっきり楽しむべく、青森市民は、荒々しくも美しいねぶた祭りの囃子に合わせた跳人へと生まれ変わるのです。そんな熱い、暑い夏になると、青森市民はザル中華なる名産を食すようになります。
ラーメン好きな青森市民らしく、麺には中華麺が使用されていますが、冷やし中華のような酸味の効いたタレや胡麻風味のタレには浸しません。どちらかといえばソバツユに近いタレです。さっぱりとした、それでいてしっかりといた味わいを楽しめます。夏の定番であるザル中華を食しつつも、青森市民は汗だくになりながら、味の札幌大西などへ足を運び、味噌カレー牛乳ラーメンをすするのです。呆れるほどのラーメン愛は真夏だからこそ発揮されるのです。
苦労に苦労を重ねた味の開発
青森県では、B1選手権でゴールドグランプリを受賞した「八戸せんべい汁」や「十和田バラ焼き」のほか、黒石つゆ焼きそばなどの作品を生み出してきました。しかし、味噌カレー牛乳ラーメンはB級グルメブームが席巻するずっと前から、ラーメン愛に溢れた青森県民の舌を楽しませてきました。発祥のきっかけは、北海道の札幌ラーメン横丁で満龍というラーメン店を営んでいた佐藤清氏が、青森市に味の札幌を開業したことです。当時、青森県では味噌ラーメンがマイナーだったため、どうすれば人気が出るのかと試行錯誤を繰り返していました。
そんなとき、新しいものが好きな中高生たちが、様々なものを混ぜて食べたいとオーダーしはじめます。そのなかに味噌、カレー、牛乳の取り合わせがあり、ミックスされた深い味わいが評判となりました。いまでは味の札幌 大西に味が引き継がれ、元祖B級グルメの称号を手に入れているというわけです。
真新しさがいつしか伝統の味に
味噌、カレー、牛乳といった誰も考えつかなかった取り合わせが受け、いつしか青森市民はもちろん県民を唸らせる味へと成長しました。新しい刺激を求めている方も、未体験の深い味わいを堪能したい方も、ハマること請け合いのソウルフードです。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 「味噌カレー牛乳ラーメン」の発祥の店『味の札幌 大西』は、どこにある?
A. 青森県