愛知県で伝統的なファーストフードとしてよく名古屋市民で食べられているうどんがあります。名古屋市市内にある主要な駅では、立ち食いソバ屋の代わりにこのうどんの立ち食い屋があるほど。名古屋市民の暮らしや文化に深く密接してきた名物うどんをご紹介します。
きしめんとはどのような麺なのか
きしめんとうどんは、共に小麦粉、塩、水を用いて作られる麺で、基本的な成分に大きな違いは見られません。実際、日本農林規格(JAS)や食品表示基準では、きしめんはうどんの一種として位置づけられています。しかし、きしめんの独特な平たい形状、厚さ1mm、幅7〜8mmの特徴があります。この形状のため、うどんよりもコシが弱く、調理中に麺がちぎれることもあるのが特徴です。この調理のデリケートさから、名古屋の家庭ではきしめんを自炊する習慣は少なく、多くの人々が外食できしめんを楽しんでいます。しかし、最近では家庭用のきしめん製品も増えてきています。名古屋のきしめん専門店は、その高い品質で知られ、どの店でも絶品のきしめんを提供しています。
きしめんの代表的な食べ方としては、ゆでたきしめんにはあつあつのしょうゆベースのつゆをかけて具にネギ、油揚げ、肉などを乗せたものが一般的です。そのほかにも一般的なうどんと同じようにてんぷらを具にして乗せたり、カレーベースのつゆをきしめんにかけるなど様々な食べ方があります。また、名古屋のきしめんの代表的な食べ方として「きしころ」という食べ方があります。「ころ」というのは名古屋独特のつゆのことでゆでたうどんなどの麺に冷たいツユをかけた料理です。「きしころ」はきしめんの「ころバージョン」で暑い夏に涼しくきしめんを食べられることから夏の間よく食べられています。
きしめんの歴史
このようにきしめんは名古屋名物として多くの名古屋人に愛されていますが、実は名古屋由来の食べ物ではありません。きしめんの発祥の地として最も有力なのは同じ愛知県にある刈谷市で、刈谷市内にあった芋川地域で作られていた芋川うどんといううどんがきしめんの源流になったいうものです。
きしめんの名前の由来もはっきりとして定説は存在せず、最初の頃は平べったい麺ではなく碁の石みたいな形をしていたからという説や紀州出身者の人が作っていたから、雉の肉を麺の具に使っていたからなど様々な説があります。
しかし、きしめんはすでに戦前から名古屋の庶民にとってはなじみ深い食べ物でした。有名な老舗のきしめん屋さんは戦前からお店を開いているというところが多く、かなり古くから名古屋人に親しまれていた麺料理なのです。
きしめんと切っては切れない名古屋の観光名所
きしめんはうどんと比べて早くゆであがることができるため、庶民の間で親しまれていただけでなく旅人たちに提供されていました。その代表的な場所として最も有名な場所が現在でも名古屋の観光名所である熱田区の熱田神宮です。熱田神宮は3種の神器の一つ草薙の剣を祀っている神社で宮中行事で遥拝されているなど日本で最も重要な神社の一つです。
その熱田神宮の境内の一角にもきしめん屋さんはあり、そのきしめん屋さんは名古屋でも最も歴史のあるきしめん屋さんとして多くの人に親しまれています。
また、熱田神宮にある白鳥庭園は都市公園内にある庭園としては中部地方で最大級の大きさを誇る庭園で、その庭園は愛知県を中心とした地形を再現しています。庭園内にある喫茶処ではランチタイムではきしめんを提供しており、そこのきしめんもおいしいと評判です。
このように名古屋の主要な観光名所には、きしめんを食べられるお店が必ずと言っていいほどあります。
名古屋にきたらぜひきしめんを
名古屋のきしめんは提供時間も短く、観光名所のレストランできしめんを必ずと言っていいほどメニューに載せているため、手軽に食べることができる料理です。名古屋観光の時の昼食にきしめんを食べてみてはいかがでしょうか。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 愛知県で食べられる、平たい形をした名物うどんの名前は?
A.きしめん
Q. 現在、愛知県で「きしころ」といえば、きしめんをどのようにして食べること?
A. 冷たくして食べる
Q. 愛知県の熱田神宮に祀られている3種の神器のひとつは?
A. 草薙の剣