長崎県五島列島の郷土料理「かんころもち」に使われる芋は?

「かんころもち」は長崎県・五島列島に伝わる素朴な風味の伝統菓子です。長崎県のお土産屋さんでよく見かけるものですが、ご存知の方は少ないかもしれません。どこか懐かしい味がする「かんころもち」は、お餅と私たちにも身近なある食材から作られます。

「かんころ」は五島地方の方言

長崎では良質の甘藷(さつまいも)がたくさん生産されます。このさつまいもを薄く輪切りにし、湯がいて日干したものを「甘古呂(かんころ)」といいます。この甘古呂をお餅といっしょにつき合わせ、かまぼこのように形を整えたものが「甘古呂餅(かんころもち)」です。さつまいもだけのプレーンのものや紫芋で作ったもの、ヨモギを加えて作ったものなどがあります。粒あんが入っておまんじゅうのようなかんころもちも。もちもととした食感とほんのりとした自然の甘さがおいしい、五島列島の郷土菓子です。

かんころもちの由来

食料が貧しかった時代、もち米はとても高価な物でした。餅を作る際、さつまいもを混ぜて量を増やし、たくさんの人が食べられるようにと考えた庶民の智恵から、かんころもちは生まれました。また、今でも五島地方の冬の間の存食として各家庭で作られています。

かんころもちの食べ方と保存方法

基本的な食べ方としては、スライスしてトースターなどで焼いていただきます。
あまり薄く切らずに幅2cmほどに切るといいでしょう。トースターで焼いていると、ぷっくりと膨らんできて、そこから軽く焦げ目がつく程度が頃合いです。電子レンジをお使いの時はラップで包み軽く温めてください。

かんころもちは温かいうちに食べましょう。もち米が入っているので、柔らかくもちもちとした食感がたまらない素朴な甘さが口いっぱいに広がります。また焼きたてのかんころもちにバターをのせて食べるのもおすすめ。溶けたバターと合わさり、ちょっと贅沢な味わいになります。また、きな粉をまぶしても素朴な風味が増しておいしそうですね。

かんころもちの作り方

かんころもちは、切り餅と干しいもを使えば家庭でもお手軽に作ることができます。柔らかくした切り餅に干しいもを混ぜる、餅つき機がなくても簡単に作るレシピをご紹介します。

材料は2人分で、切り餅:3個、水:大さじ1、干しいも:50グラム、砂糖:小さじ1、白すりごま:小さじ1、すりおろしショウガ:小さじ1/2

切り餅は一口大に切り、干しいもは粗みじんに切ります。これらを耐熱ボウルに入れ、水を加えてラップをかけて電子レンジで600Wで2分程度、膨れ過ぎないよう様子を見ながら切り餅が柔らかくなるまで加熱します。熱いうちに砂糖、すりごま、すりおろしショウガを入れ、すりこぎで馴染むように全体が混ざるまでつきます。干しいもの潰し加減はお好みで調整しましょう。ラップに片栗粉を散らした上に、合わせたものを横長に包んで冷蔵庫で30分ほど冷やします。固まったら、食べやすい大きさに切り、トースターでほんのり焼き色がつくまで焼きましょう。お皿に盛り付けて完成です。

美しい自然と世界文化遺産

五島列島は、5つの大きな島と無数の小島から成り立っています。長崎港から西へ70~100キロメートルほどしか離れていないにもかかわらず、「日本一美しい」とも噂される白い砂浜や、高い透明度を誇る海で海水浴もできます。また、キリスト教が禁じられていた時代、信仰を守るべく人々が移り住んだ所でもあり、2018年に登録された世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に、五島列島内の複数のエリアが含まれています。美しい自然と歴史の息遣いが感じられる五島列島、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

ザ・ご当地検定の問題

Q. 長崎県五島列島の郷土料理「かんころもち」に使われる芋は?

A. サツマイモ