日本各地に存在するご当地お菓子の中には、他県の人にはよく分からない商品名が書かれているものがあるのです。そんな他県の人にはよくわからない商品名がつくお菓子の中で、岐阜県で長年親しまれている豆つかげを紹介します。
大豆をつかった体に優しいお菓子
岐阜県で長年愛されている豆つかげというお菓子は、お豆腐に使われる原料の大豆を使っています。作り方もとても簡単で、大量の大豆を茹でるか蒸して指で押してつぶれるぐらいに柔らかくします。そして小麦粉に醤油と砂糖を加えて水を混ぜて衣を作り、その中に軟らかくした大豆を加えて混ぜるのです。衣と大豆が完全に混ざり合ったら、それをしゃもじやお玉を使って大量に掬い取ってそれを160度の低温の油で揚げます。この豆つかげを美味しく作るコツは揚げる時間であり、通常の揚げ物は高温の油できつね色になった段階で油からあげますが、豆つかげは逆に低温で茶色を通り越して黒くなり始めるぐらいになるまで長めに揚げます。
この黒くなり始めるぐらいにまで揚げることによって、大豆と衣の中にある水分を完全に飛ばせるのでカリカリとした歯ごたえのある食感になります。さらに天ぷらと違って衣に味を付けているので、豆つかげは醤油が焦げた風味が香ばしいです。使っている材料もほぼ大豆なので身体によいだけでなく、歯ごたえがあるので歯を鍛えるのにもよいことから子供のおやつとして喜ばれています。もちろん大人にとっても、歯ごたえのある食感と香ばしい香りそして醤油の塩味がお酒に合うのでつまみとしても喜ばれているのです。
ここで気になるのが豆つかげの、つかげの意味とは何なのかです。つかげは岐阜県飛騨地方の方言で、元々は落ち葉をかき集めることを意味していた言葉になります。先に言ったとおりに、このつかげを作るときには衣と一緒になった大量の大豆をしゃもじやお玉を使って大量に掬い取って作るのでかき集めている状態と同じようになっているのです。そのため岐阜県の方言では、かき揚げを含めた色々な食材を衣につけて大量に上げる料理のことをつかげと名付けます。実際に大豆だけでなく岐阜県では、特産のごぼうを使った”ごぼうつかげ”やにんじんを使った”にんじんつかげ”なども販売されているのです。
元々は保存食
現在では子供の健康を考えたおやつとして定着している豆つかげですが、元々はおやつというよりも保存食の意味合いが強かったといえます。岐阜県の飛騨は盆地であり夏は暑いですが、11月の秋の終わりに近づくと気温が10度以下になります。そのため本格的な冬になると豪雪地帯となり、現在のように流通システムが確立されていなかった時代は、秋に収穫した穀物や野菜が越冬するのに重要な役割を担っているのです。そのため岐阜県飛騨地区の料理の多くは、凍った漬物を美味しく食べる工夫として油と卵と炒めた漬物ステーキや魚の燻製そして朴葉味噌などの発酵食品が定着していす。
岐阜県の名水で育てられた大豆も貴重な越冬するための食材ですが、大豆の中にある水分によって長持ちしないことに加えて山の中なので、ねずみなどの被害も考慮しなければなりません。そこで貴重な食材の大豆を長期保存兼手軽に食べられる方法を考えた時に、油で揚げて水分を飛ばすことで保存性を高めることを考えたのです。このように元々は保存食としての意味合いが強かった豆つかげですが、その後手軽に流通するようになった砂糖を加えたことで甘みが加わり伝統的なおやつとして岐阜県の人々に愛されるようになったのです。
お取り寄せとして人気になっている豆つかげ
大豆は、食物繊維やビタミンミネラルが豊富なので体に良いです。そんな大豆を使った豆つかげは旅行者が食べて好印象だったことから、現在ではお取り寄せ品としても人気になっています。一度食べてみてはいかがでしょうか。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 岐阜県のお菓子「豆つかげ」。この「つかげ」とはどういう意味?
A.揚げたもの