日本での「もやし」の生産量はどこの都道府県が1位かご存じでしょうか。「もやし」の栽培には水が欠かせないことが大きく関係しています。1位の都道府県と水に、いったいどんな関係があるのでしょうか。ここではその背景をご紹介します。
全国1位の意外な理由
もやしは水耕栽培なので、生産には大量の水が必要となります。ですので、通常であれば、もやしの工場を24時間稼働すると水道料金が高額になりますが、栃木県ならばそんなことはありません。なぜなら栃木県は栽培に地下水を使用することを認めているために、水道代を大幅にカットできるからです。さらに栃木県で栽培することのメリットはコストカットだけではありません。栃木の水は「もやし」に合っていて、質の高いもやしを育てることができるのです。それゆえに、もやし栽培の大手4社のうち3社が栃木県に工場を構えています。栃木県がもやしの生産量第1位なのはそういう理由です。
もやしの栽培に必要なのは水だけなので、水質がもやしの質を大きく左右します。成長のときだけではなく、豆の発芽前や出荷前の洗浄のときにも、たくさんの水が必要になり、どんな水をどれくらいの量、どんなタイミングで給水するかは各社の企業秘密となっています。こだわりの水を地下90メートルから汲み上げている工場もあります。
もやしの意外なパワー
水だけで育つ「もやし」ですが、意外にも栄養豊富です。たんぱく質をはじめとして、ビタミンB群やビタミンCといったビタミン類、カリウムやカルシウムなどのミネラルもバランスよく含んでいます。さらに新陳代謝を高めてくれると言われているアスパラギン酸も含んでいて、疲労回復の効果も期待できます。
もやしはカロリーが低く合わせやすい味なので、さまざまな料理に使えます。積極的に活用していきましょう。調理のコツはさっと茹でることです。沸騰した鍋に放り込んだら10秒で引き上げましょう。シャキシャキの食感が味わえますし、熱に弱い栄養素であるビタミンやミネラルもあまり損なわずに済みます。
もやしは傷みやすい食べ物ですが、買ってきたら袋から出して水を注いだ容器に入れて2日に1度は水を変えれば1週間ほど保存ができます。未開封のもやしなら、袋のまま冷凍することも可能ですが、シャキシャキとした食感は損なわれるので、汁ものなどに利用するとよいでしょう。
保存のためにも味わいのためにも、新鮮なもやしを選ぶことが大切です。もやしが茶色くなっているものや袋に水が溜まっているものを避けて、茎全体が白くて透明感のあるものを選びましょう。長いものよりも、短めでハリとツヤのあるものが味が良くて栄養価も高いです。
栃木県の名水
水の質が味に直結するもやしが栽培されているくらいですから、栃木県は名水の多い地域です。北部から北西部にかけて奥羽山脈や日光連山といった険しい山が連なっているため、その山々から流れ出た雪解け水が森に流れて湧き水となるのです。
日光市は森林や湖沼が数多くあり、全国でも有数の水のおいしい地域として知られています。また塩谷町の尚仁沢湧水群は全国名水百選に数えられていて、平成9年には全国37都道府県から集められたおいしい水の中で全国第一位の認定を受けたほどです。尚仁湧水郡は樹齢数百年の原生林に囲まれた一帯で、沢霧が立ち上る様が美しく景勝地としても有名です。そんな全国レベルの湧水ですが、「尚仁沢名水パーク」で汲むことができます。ただし生水なので、飲料の際は煮沸するなどの殺菌消毒を各自でおこなう必要があります。栃木県では他にも、神社や街中、さらにはドライブインなど、さまざまなスポットでお水取りができます。
もやしに惹かれて栃木県
普段なにげなく目にする農産物も、産地に思いを馳せると意外なことが見えますね。水が命であるもやしを育む名水に興味は尽きません。栃木県といえば関東圏の小学生の修学旅行先としてメジャーですが、名水めぐりという切り口で訪ねてみるのもよいでしょう。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 平成24年、もやしの生産量が全国1位の都道府県は?
A.栃木県