鳥取県鳥取市にはうどんのだし汁に中華麺を入れた、味が想像できるようなできないような、ちょっと気になる麺料理があります。鳥取市民に愛されているこちらのソウルフードをご紹介しましょう。
優しいおいしさの『素ラーメン』
『素ラーメン』はうどんのだし汁に中華麺を合わせた麺料理です。トッピングは揚げ玉・もやし・青ネギ・かまぼこのみで至ってシンプル。中華ふうの丼に透き通ったスープ、淡い色のやや太目のちぢれ麺、緑のネギと、ピンクのふちどりのかまぼこといった優しげなビジュアルです。
一口スープをすすってみれば、和風だしのあっさりとしたやや甘めの味わい。昆布とカツオのだしのうま味をしっかりと感じることができます。麺は小麦の香りがほんのりと広がり、もちもちの食感に優しいスープとの相性も抜群です。
『素ラーメン』の歴史
昭和30年頃に鳥取市にある明治45年創業『武蔵屋食堂』の2代目の店主が、お客様に安心して食べてもらえるよう考案されました。こだわりの昆布とカツオなどで丁寧にとった「和風のだしスープ」は、世代を越えて受け継がれています。麺はもともと外国産の小麦粉で作られていた麺を仕入れていましたが、安心安全な食を楽しんでいただきたい、という思いから、製麺所を作り製麺機を導入し、自家製中華麺を製麺。小麦は地元の鳥取県産を100パーセント使って、優しい味のスープに合うよう香りと食感を工夫し、柔らかめのコシのちぢれ麺に仕上げて提供しているそうです。
あの大人気グルメ漫画でも食べられた
鳥取市役所の食堂に『スラーメン』なるメニューがあり、こちらが大人気グルメ漫画『孤独のグルメ』に登場しました。実写版でも井之頭五郎演ずる松重豊さんが、おいしそうにラーメンをすするシーンがあり、一躍全国で有名になりました。ただ、残念ながら鳥取市役所は新庁舎に移転し、食堂は閉店。名物の『スラーメン』はなくなってしまいましたが、新庁舎で新メニュー『香素ラーメン』が提供されています。
砂の芸術品が揃う『砂の美術館』
鳥取と言えば鳥取砂丘ですが、観光客の人気を集めているのが、鳥取砂丘のすぐそばにある『砂の美術館』です。砂丘交差点から県道319号線に入って2つめの右側の建物で、左側には鳥取砂丘が見える場所にあります。
砂の美術館は長い年月をかけて自然によって作り出された鳥取砂丘の美しい自然の造形美を生かし、人々に深い感動と感激を与えたいという思いから、2006年11月18日に「砂」を素材にした彫刻作品である「砂像」を展示するため開館されました。
基本コンセプトは『砂で世界旅行』。毎年、様々な国や地域のテーマに沿った展示が行われています。砂像をプロデュースするのは、砂像彫刻家でありプロデューサーとしても国内外で活躍する鹿児島県出身の茶圓勝彦(ちゃえんかつひこ)氏。茶圓氏はニューズウィーク日本版『世界が尊敬する100人の日本人』にも選ばれるほど注目されている人物です。
砂の美術館の見どころはやはり迫力ある砂像です。世界各国より招かれた砂像彫刻家が砂をひとつの芸術作品に仕上げていき、世界最高レベルの砂像が展示されています。素材が砂なので砂像を製作している時はもちろんのこと、完成した後も崩れる危険性があります。また、出来上がった作品を移動させるのは難しいため、砂像はこの美術館でしか見ることができないのです。目の当たりにすると、その精巧で緻密、かつ迫力のある砂像に圧倒され、思わず見入ってしまいます。そして、それぞれの作品ひとつひとつに解説が付けられていますので、作品の背景とともに砂の世界旅行を楽しみましょう。
また、砂の美術館の3階につながる『展望広場』から、鳥取砂丘を一望することができます。砂丘の向こうに広がる日本海をながめ、時間によっては海に沈んでいく夕日を見られることもあるので、家族連れやデートに人気のスポットになっています。
ザ・ご当地検定の問題
Q. うどんのダシに中華麺をあわせた、鳥取県の麺料理は?
A. 素ラーメン