「武蔵野うどん」「加須うどん」をご存じですか?香川県に次いで、うどんの生産量が全国2位(2016年度実績)の都道府県の名物うどんです。いったいどんなうどんなのでしょうか。
つけ麺のように食べる「武蔵野うどん」
埼玉県西部はかつて武蔵国(むさしのくに)と呼ばれていました。その地域で食べられていたうどんが「武蔵野うどん」です。武蔵国は関東ロームに覆われた土地が多く、小麦の育成に最適な環境が整っていました。そのため、うどん食の文化が発展していったのです。
武蔵野うどんは厳密に定義すれば、地元の小麦を使用したうどんしか認められていません。武蔵野うどんの特徴は、コシが強く歯ごたえのある茶色がかった麺です。
なぜ茶色なのか?その秘密は使われている小麦の種類にあります。武蔵野うどんは、埼玉県産の小麦と武蔵野市で収穫された「地粉」という小麦をブレンドして使っているのです。地粉は小麦の表面を覆うふすまも一緒に製粉されます。そのため、茶色が買った粉になるのです。ふすまも一緒にひいているから鉄分やカルシウムもたっぷり。さらに、小麦本来の香りも楽しめます。食べるときはその麺をざるや皿に盛って、温かい汁につけて食べます。汁はカツオから出汁をとった濃いスープで、甘めに味つけがされています。具材はシイタケ、白ネギ、豚バラ、油揚げなどです。お好みで刻みネギを入れるようになっています。
旧武蔵国の地域とうどんの結びつきは強く、江戸時代の冠婚葬祭の行事には必ずといっていいほど武蔵野うどんが客にふるまわれていました。この風習は現代でも一部の家に受け継がれています。またかつては、うどんが打てなければ嫁入りはできないとまで言われていたのです。米よりも小麦を使ったうどんのほうが重要視されているのがよくわかるエピソードですね。
手間暇をかけてコシを与える「加須うどん」
加須うどんは、埼玉県加須市とその周りの地域で食べられているうどんです。昔の加須市も、土壌の性質上、米よりも小麦の栽培が盛んでした。加須うどんの起源は、不動ヶ岡不動尊 總願寺(そんがんじ)への参拝客にうどんをふるまったことが始まりと言われています。加賀うどんは手でこねて、足で踏み、そこから通常の2倍の時間、生地を寝かせるのが特徴です。さらに麺を切りそろえたあとは、ちょっとの時間棒にかけて干しておきます。こうした手間暇をかけた工程が麺に独特のコシを与えているのです。ゆで上げたうどんは、もりうどんにしてつけ汁につけて食べたり、丼に入れて麺つゆをかけて食べるといった味つけがされます。
加須市では加須うどんを使った町おこしの企画があります。その名も「加須手打うどん会 スタンプラリー」です。2018年時点で「加須 手打うどん会」に加盟している19のうどん屋さんを回ってスタンプを集めるという企画です。加須うどんは水でしめた麺に冷たいつゆをかけるのが一般的ですが、各店は新しい味を追求してうどんのメニューを研究しています。複数の店の味を食べ比べてみるのは面白いでしょう。スタンプを押すリーフレットには、加須うどんの歴史などが記載されています。
また、「加須 手打うどん会」では、市内の農家と連携して、「あやひかり」という小麦を使ったうどん料理の研究を進めています。あやひかりは、アミロースの量が少ないため冷えても硬くなりにくいのです。だから、水で冷やしても滑らかでもちもちの麺が食べられるのです。冷たい状態で食べることが多い加須うどんと相性がいいのがわかりますね。
うどんは埼玉県のソウルフード
ここまで紹介したように埼玉のうどん文化には長い歴史があります。埼玉県は交通の便がいい土地で、首都圏に住んでいる人は気軽に訪れやすい場所になります。有名な観光スポットを回りながら、埼玉のうどんに舌鼓を打ってみてはどうでしょうか。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 「武蔵野うどん」「加須うどん」といえば、どこの都道府県の料理?
A.埼玉県