沖縄のお酒である「泡盛」ですが、たまに「古酒」とかかれているものを見かけたりしませんか?「古酒」は「クース」と読み、ワインやウイスキーのように、泡盛を寝かしたものになりますが、何年寝かせれば古酒になるのでしょうか。味に変化はあるのか、また普通の泡盛と何が違うのでしょうか?
泡盛の古酒は3年寝かせたもの
泡盛を買うときや飲むときに「3年古酒」や「5年古酒」などの文字がラベルやお店に書かれているものを見たことがありませんか?
古酒とはどのような種類のお酒でしょうか?
泡盛は、およそ500年もの歴史を持ち、「焼酎のルーツ」とも「国内最古の蒸溜酒」とも言われるお酒です。このように熟成した泡盛が「古酒(クース)」と呼ばれるのです。
泡盛は、年月をかけて熟成させることで、より味わい深い「古酒」に育てる事が出来ます。かめや壺などに入れて寝かせることで豊潤で甘い香りと、まろやかな舌触りに変化するようになり、その芳醇さは、ブランデーにも負けないそうです。
では、泡盛を「古酒」と呼べるようにするためには、どれくらいの間、熟成させればよいのでしょうか?
古酒を名乗れる泡盛は、泡盛全量を3年以上寝かせたものです。沖縄では「金庫の鍵は家来に預けても、酒蔵の鍵は主人が肌身離さずに持ち歩く」と昔からいわれているほどに、大切にされてきました。
3年という期間は「泡盛の表示に関する公正競争規約・施行規則」によってきめられています。以前は3年以上熟成させた泡盛が全体量の50%を超えていれば「古酒」と表記できていましたが、2015年8月1日からは、全量を3年以上貯蔵した泡盛のみが「古酒」と表示できます。より定義が厳格になったのです。
対して新しい泡盛は一般酒や新酒と言われています。
泡盛には新しい酒を少し注ぎ足すことで泡盛が活性化して美味しくするという特徴をいかした「仕次」という独特の熟成の文化があります。仕次ぎとは、年代ものの泡盛にそれより少し若い泡盛を注ぎ足すことで、泡盛の劣化を防止しながら古酒を作り出す手法のこと。
しかし熟成年数の異なる古酒を「仕次」する場合には若いほうの古酒の年数を表記しなければならないのです。たとえば、8年の古酒と3年の古酒の「仕次」であれば、表記は「3年」となります。
古酒の基準変更によって全量という縛りができてしまうと、仕次ぎの文化が廃れてしまうのではないかという心配もあるようです。
一番古い古酒(クース)は?
公表されているもので現存する最も古い古酒は約150年物の古酒とされています。
戦前には200年古酒も存在していたと言われていますが、しかし、先の戦争によってかつて戦前まで沖縄に実在していた100年、200年といった貴重な古酒のほとんどが焼失してしまったのです。
約150年物といわれる古酒は、地中深くに埋めていたために奇跡的に戦火を免れたものだそう。
現在は各酒造所で大きなかめやつぼに泡盛を貯蔵しており、長い年月をかけて100年ものの古酒を育てる計画があるようです。
沖縄では出産や結婚など祝い事の際にも贈ることがおおいとされる泡盛。
いつの日か、おおくの100年ものの古酒がのめるといいですね。
古酒のおいしい飲み方
古酒は酒器にこだわる。という言葉があるようです。
泡盛の古酒は他に余計なものは何も足さずに、ストレートで飲むのがおすすめ。酒器のみにこだわればよい。という事なのでしょうか。確かに古酒の最大の魅力は、古酒ならではの複雑で深い香りにあるといえます。
泡盛は熟成の過程で化学変化をおこして古酒になっていきます。その変化は泡盛ごと、熟成される壺などの容器ごとに異存します。このため、できあがった古酒の味わいにも個性がはっきりと出ます。特に香りには、黒糖やバニラのような甘いものから、りんごや洋なしなどのようなフルーティな香り、椎茸などのキノコ類のような不思議なものまで、数えきれないほどです。
また、年代物のワインと同じように熟成年数が多い古酒ほど、香りが感じられるまでに時間がかかるのだそう。古酒を飲むときには、器に注いだあと、10~20分ほどまち、空気に触れることで格別な香りが立ち上げってくるのを感じましょう。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 沖縄のお酒「泡盛」の中でも「古酒(クース)」に分類されるのは、何年以上貯蔵されたもの?
A. 3年