香川県の人には当たり前なのですが、県外の人は少々びっくりしてしまう、郷土料理に「しょうゆ豆」があります。見た目は煮豆なのですが、食感がまるで違うのに驚く人が多いこの「しょうゆ豆」は何の豆でしょうか?
香川県の郷土料理「しょうゆ豆」とは?
乾燥させたそらまめを焙烙(ほうろく)という素焼きの平たい土鍋のようなもので、焦げ目がつくまでじっくり炒り、しょうゆや砂糖、唐辛子などで味付けした調味液の中へ漬け込んだ、香川県の代表的な郷土料理です。
昔から各家庭で作られており、炒り豆の香ばしさとしょうゆの風味が感じられる素朴な味わいで、お酒のおつまみや箸休めとしてもぴったり。そして、煮豆とは違い豆を最初に炒っているので、軽く噛むとポロッと口の中でくだけ、知らない人は煮豆だと思って食べてみて、この食感の違いにびっくりしてしまうようです。
しょうゆ豆の由来
しょうゆ豆の起源は諸説ありますが、よく言われているのが、四国八十八ヶ所を巡礼していたお遍路さんがお接待にもらった、乾燥したそらまめを炒っていたところ、飛び跳ねたそらまめが、そばにあったしょうゆの壺に飛び込んでしまいました。しばらく経ってその豆を食べてみるととてもおいしくなっていたことから、始まったと言われています。
そらまめは塩ゆでなどに使う未成熟そらまめ(いわゆる新豆)と、ツメの部分が黒くなるまで熟れた成熟そらまめの二種類に分類されます。しょうゆ豆に使われるのは成熟そらまめで、これは農水省の統計資料にない特殊な品目であり、他の地域ではあまり栽培されていませんが、香川県ではよく作られていました。そして、小豆島などでおいしいしょうゆが造られたことも、しょうゆ豆の文化が香川に根付いたのと関係あるではないかとされています。
しょうゆ豆に使われるそらまめは「讃岐長さや」が使われていていましたが、現在では「一寸そら豆」の方が多く出回っています。各家庭によって好みの甘さや濃さが違うので、甘い方が好む家庭では砂糖の量を増やし、またお好みでしょうが汁や唐辛子を風味づけに加えたりする場合もあります。
そらまめは栄養満点!
そらまめは植物性たんぱく質が豊富に含まれているので、野菜なのにたんぱく源にもなるという優秀食材。たんぱく質だけでなく、むくみを改善するカリウムや貧血予防や鉄分、血圧を調整する働きや骨の成分でもあるマグネシウム、などといったミネラルも多く含まれています。さらにビタミンB1、ビタミンCも含まれているので風邪の予防や疲労回復、美肌効果も期待でき、食物繊維もたっぷりなので、腸の中を綺麗にし便通をよくする効能も。皮は渋みがあって避ける人も多いですが、皮ごと食べると効果が出やすいので、しょうゆ豆も皮ごといただきましょう。
食べすぎには注意?「そらまめ中毒」
発熱、黄疸、貧血などが症状として現れ、最悪の場合は死に至ることもあるという「そらまめ中毒」。主に地中海沿岸や北アフリカ、中央アジアなどの地域で見られるようです。ただ遺伝的な要因も大きく、日本人はあまりならないそうなのですが、食べすぎには注意してほどほどにしておきましょう。
おいしいそらまめの選び方と保存方法
そらまめはさやの緑色が鮮やかでツヤのあり、ふっくらと膨らんで弾力があるものを選びましょう。茶色くなった部分があったり、筋が黒くなっているものは鮮度が落ちている場合があるので、避けた方が無難です。
そらまめは乾燥しないようビニールなどの袋に入れ、野菜庫に入れて保存します。ただ、なるべく早く調理した方がおいしく食べられます。豆をさやから取り出すと空気に触れて、鮮度が落ちるのが早くなるため調理する直前にさやから取り出すようにしましょう。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 香川県の郷土料理である「しょうゆ豆」に使われる豆は?
A. そらまめ