茨城県桜川市のご当地グルメであるすいとん料理をご紹介します。一般的なすいとんと異なる特徴は、地元の野菜をふんだんに使っているところにあります。このご当地グルメは、どのようにして誕生し広まっていったのでしょうか。
すいとんについて
うまかべすいとんを知るためには、まずすいとんについて理解する必要があります。すいとんは小麦粉に水を加えて生地を作り、その生地を団子状に丸め平たくなるように潰し手のひらより少し小さいサイズにします。そして、野菜を加えて煮込み醤油などで味付けした汁物料理です。この料理がなぜすいとんと呼ばれるようになったのかというと、水を加えて団子を作る、「水団」からすいとんになったという説が有力視されています。すいとんの歴史は室町時代に始まったと言われています。このように長い歴史を持つすいとんですが、米が手に入りにくかった戦時中などに米の代用食として広く食べられました。
戦後、米が比較的手に入りやすくなった中でも小麦を多く生産している北関東地域では多くの家庭で日常的に食べられており、その地域の郷土料理としても知られるようになりました。中でも、茨城県桜川市の真壁地域ではこの土地の名物として知られているのです。
うまかべすいとんとは
そして、この茨城県桜川市の真壁地域で作られているすいとんが、うまかべすいとんです。真壁では古くから石材の産地として知られており中でも良質な花崗岩は真壁石とも呼ばれ全国的に人気があります。真壁では、真壁石の他に何か町おこしになるものはないかと考えました。そこで考案されたのが大量に生産される小麦から作られる、古くからの郷土料理であるすいとんを使ったグルメでした。それがうまかべすいとんです。真壁ではひなまつりの伝統があり毎年ひなまつりのイベントが行われているのですが、このイベントでうまかべすいとんが提供されるようになると、美味しいと評判になりテレビ番組の特集でも取り上げられるなどしてご当地グルメとして知名度が広まっていったのです。
うまかべすいとんに使われる野菜には、ニンジンや大根、ほうれん草など地元の物が使われることも特徴です。また、名前の由来は茨城県で美味しいでしょ、を意味する「うまかっぺ」と「真壁」を掛け合わせたところから来ているということです。
真壁の歴史とひなまつり
うまかべすいとんを生み出した真壁という地域は、茨城県西部に位置しています。上述の通り、真壁石の産地として有名で豊かな土壌に恵まれているため農業も盛んに行われています。奈良時代にこの地域はすでに真壁と呼ばれており、平安時代末期には真壁氏がこの地域を支配するようになると城も築かれ城下町が繁栄したのです。真壁の独特な町割りを完成させたのは17世紀の浅野氏だとされています。21世紀になってもこの町割りは残されており、江戸時代とほぼ変わらない町並みとされ多くの歴史ファンが訪れています。明治時代に入り、1889年には真壁町となり様々な編入を繰り返しますが2005年には真壁町と大和村・西茨城郡岩瀬町が合併し桜川市が誕生、真壁町という名は消滅するに至ったのです。
真壁ではひなまつりが有名です。上述の通り、うまかべすいとんもこのひなまつりで提供されたことがきっかけで広まりました。この地域でひなまつりが行われるようになったのは2002年で、真壁に来る人をもてなしたい、という人々の声からひな人形が飾られるようになりました。当初は有志だけの参加だったのですが、地域全体で盛り上げたい、という住民の想いからあっという間に参加者が増え、真壁の名物となりました。
茨城県桜川市の野菜を使ったすいとんであるうまかべすいとんは、人気のご当地グルメ
茨城県桜川市の町おこしから生まれたうまかべすいとんは地元の野菜をふんだんに使ったご当地グルメとして愛されています。すいとんを食べる機会が減ったと言われる中で、この地域では様々なすいとん料理店がありますので食べ比べるのも面白いかもしれません。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 茨城県桜川市のご当地グルメである、地元の野菜を使ったすいとん料理は?
A.うまかべすいとん