オリバーソース株式会社は、神戸に本社を置く老舗の調味料メーカーです。『どろソース』をはじめ関西で多くの人に愛されているソースを製造・販売してきました。オリバーソースが日本で初めて作り、今では私たちの食卓にすっかり馴染んでいるソースがあります。
爆発的に売れた秘密
1948年に「とんかつソース」がオリバーソースから販売されると、それはもうすごい勢いで売れたのだとか。関西一円から神戸までこぞって買いに来たそうです。それほどまでに売れた理由は意外なものでした。実は最初は「とんかつソース」はとんかつではなく「たこ焼き」にかけるソースとして、みんな買い求めたそうです。
神戸や明石にて、たこ焼きにサラサラとしたウスターソースではなく、濃厚でとろりとしたとんかつソースをかけるというのが定番化されました。それが大阪に移りお好み焼きにもかけられるようになったのです。とんかつソースは関西の「粉もん文化」の発展にも関わっていたのですね。
とんかつソースが生まれたわけ
ウスターソースと違うとろみがある濃厚なソースが生まれたのは、2代目の妻の女学生時代の経験にあります。お弁当のおかずの揚げ物にウスターソースをかけていましたが、しゃばしゃばのソースではお弁当箱からこぼれてしまう。しゃばしゃばのソースに小麦粉をつけてとろみをつけ、こぼれないように工夫したものが全てのソースの始まりになったそうです。
新たなヒット商品
オリバーソースは、とんかつソースという大ヒット商品で一時は飛ぶ鳥を落とす勢いでした。しかし、時の社長がコーンスターチを使用して作る製法を打ち明けたため他のメーカーも似たソースを作り売り出し、また新しいソースメーカーも次々とできて競合が始ました。
そこで、とんかつソースを主力商品としながら新商品を開発し、次のヒット商品なる『どろソース』を誕生させました。香辛料の成分が濃縮され濃厚で辛めの『どろソース』は、神戸発祥のB級グルメ『そばめし』に使われ大ブームに。今ではそばめしの味の決め手として欠かせない商品です。
ウスターソースの話
これらの『とんかつソース』や『どろソース』のもとになっている、ウスターソースとは一体どんなソースなのでしょうか。ウスターソースは名前の通りイギリス・ウスターシャー州の州都であるウスター市で初めて作られ、この名前がつけられました。
19世紀のはじめ、この地に住む一人の主婦が余ったりんごと野菜の切れ端をコショウやカラシなどのスパイスを振りかけて壺に入れ、さらに腐らないよう塩と酢を加えて保存しておいたところ、野菜や果実が自然に溶け合い発酵した液体ができていました。この液体がウスターソースの始まりと言われています。
この液体、おいしそうな匂いがしたので試しに調味料として使ってみると料理がおいしくなり、作った主婦は自家製の調味料として自慢して回りました。やがて、この調味料が地元の企業によって商品化されて、英国全土で売られるようになり広まったようです。
日本にウスターソースがやってきたのは江戸時代末期の頃です。明治維新が起こり、洋食の人気が高まるとともに「西洋の醬油」と認識されて、各地に広まりました。そして明治17年、ヤマサ醤油から日本で初めての国産ソース『ミカドソース』が発売されました。しかしながらイギリスの製法で作れられていたためか日本人の口には合わず、売れずにやがて発売中止となったそうです。
それぞれのソースの違い
ウスターソース、中濃ソース、とんかつソースの違いは、製造メーカーによって違いはあるものの粘度が薄い順にウスター→中濃→とんかつとなります。味はウスターが辛め、とんかつは甘め、中濃はその中間で辛みと甘味を合わせ持った味わいです。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 1948年に神戸のソース会社『オリバーソース』がウスターソースを改良して日本で初めて作ったソースは?
A. とんかつソース