お出汁の味がしみる「明石焼き」。おいしいですよね。食べたことがある方も多いはず。新鮮で味の良いタコが獲れることで有名な兵庫県明石市の名物料理ですが、別の名前でも呼ばれているんです。その名前をご紹介しましょう。
ふわふわとろとろの正体の食材
明石が誇るB級グルメの「明石焼き」。「たこ焼き」との違いがわからないなんて思っていませんか? たこ焼きとは全く違うもので、その大きな違いは生地。たこ焼きはの生地のメインは小麦粉ですが、明石焼きは卵なんです。卵をふんだんに使っているので、地元では「玉子焼き」とも呼ばれています。明石焼き(玉子焼き)は、卵たっぷりの生地のふわとろでやさしい味わいが口いっぱいに広がります。
また、明石焼きはとてもやわらかいので、たこ焼きと同じように焼いても半球形になります。そして具材にタコや天かすなどを入れるたこ焼きに対して、明石焼きの具材はタコだけ。たこ焼きのようにソースやマヨネーズなどは一切つけず、だし汁に浸して食べるのも特徴です。
明石焼きの秘密
明石焼きの生地には、メインの卵、そして小麦粉のほかに「じん粉」が使われています。「じん粉」とは、小麦粉からたんぱく質成分を除き、でんぷん質のみを取り出して精製した粉です。この「じん粉」を使っているので、加熱しても硬くならず、ふんわりプルプルな食感が楽しめるのです。
そして、明石焼きを焼くのに欠かせないのが銅鍋。形はたこ焼き器と似ていますが、ふんわり柔らかに仕上げるために、熱伝導の良い銅鍋を使います。その銅鍋も丸いくぼみが全て均一の厚みでないと、ムラなくきれいに焼くことができません。そのために、なんと明石には全国でも珍しい手打ちの銅鍋を作る職人さんがいるんです。機械では作ることができない、均一な厚みのくぼみがある銅鍋を手作業で作っています。一つ一つ丁寧に作られた銅鍋はお店・ご家庭で愛用されています。
明石焼きの歴史
江戸時代の末期頃から明治にかけて、明石の重要な産業の一つとして「明石玉」が作られていました。「明石玉」とは、原料は卵の白身を接着剤として、硝石などを固めて作られた模造サンゴの一種で、かんざしや首飾りの装飾品として使われていました。明石焼き(玉子焼)の起源は諸説あるのですが、当時、大変人気があった「明石玉」を作る過程で大量に余った卵の黄身と小麦粉に、さらに明石でたくさん獲れるタコを入れて作られたものが、明石焼き(玉子焼き)のはじまりと言われています。
明石焼き以外も名物がいっぱい
明石の名物は明石焼きだけではありません。明石焼きに欠かせないタコが獲れる明石海峡の三大名産物と言われるのが、鯛・タコ・アナゴです。明石の鯛の美味しさは昔から定評があります。明石海峡は魚の餌となるプランクトンなどが多く集まって絶好の餌場となっており、潮の流れが早いなかで回遊しているので、よく身が締まった美味しい鯛へと成長します。
お正月や結婚式などのお祝い事に、鯛の姿焼きは欠かせません。最初は焼きたての美味しい白身をショウガ醤油で味わいます。残った身は炊き込み御飯・鯛茶漬けなどにします。そして、頭と骨は土鍋を用意してたっぷりの水でよく炊き出し、白菜や豆腐などを入れて鯛鍋にします。最後に残った汁は、ごはんを入れて雑炊やおじやにします。このように丸ごと一匹、骨までいただくのです。
もちろん、アナゴも鯛と同じように早い潮流で鍛えられているので、肉厚で身は引き締まっています。アナゴと言えば天ぷらや穴子丼が定番ですが、明石では素材の良さをそのまま味わえる薄造りやしゃぶしゃぶもいただくことができます。新鮮な地魚のみが味わえる美味しさです。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 兵庫県明石市の名物「明石焼き」。現地の人は何と呼ぶ?
A. 玉子焼き