広島県呉市には、こんがり揚がった生地の中に、甘さ控えめのこしあんがぎっしり詰まった郷土菓子があります。名前を聞いてピンとこない方でも、一口食べれば「また食べたい」と感じる素朴なお菓子です。誕生の背景から食べ方・購入方法まで、紹介します。
フライケーキとは?昭和22年、戦後の呉で生まれた揚げ菓子
フライケーキの生みの親は、明治40年(1907年)生まれの初代店主・福島義行さんです。19歳のときにアメリカ帰りのパン職人に師事し、洋菓子と和菓子の作り方を習得しました。さらに不二家菓子店に勤めたのち、上海にまで渡って修行を重ねます。帰国後は、洋菓子の技術と日本古来のこしあんを組み合わせながら試行錯誤を繰り返し、独自の生地配合が誕生しました。
昭和22年(1947年)、「福住」は甘味処として創業しました。当初はカステラやあんみつなども出していましたが、揚げ菓子のなかでもフライケーキの人気が高く、やがて一本に絞ったといわれています。 創業から70年以上たった今も、呉市中通のれんが通り沿いで同じ製法を守りながら営業を続けており、地元の人が数十個単位でまとめ買いする様子は、今もこの店の日常になっています。
なぜ地元に根づいた?フライケーキが愛される理由
フライケーキが長年にわたって地元に根づいた背景には、1個100円という手の届きやすい価格があります。※価格は変更になる場合があります。子どものお小遣いでも買えるため、学校帰りのおやつとしても親しまれてきました。また、開店と同時に店頭で揚げ始めるため、いつでも揚げたてを購入できます。10個・20個とまとめて買う常連客が絶えないのは、そんな日常に溶け込んだ手軽さなのかもしれません。※価格は変更になる場合があります。
フライケーキが長く親しまれてきたもう一つの理由が、外側のカリッとした歯ごたえと、中のふわりとした生地が生み出す独特の食感です。甘すぎないこしあん と、脂っこさを感じさせないあっさりした後味の組み合わせが、甘いものが得意でない人にも好まれてきました。一口かじると生地の香ばしさがふんわりと感じられ、どこかほっとする素朴な味わいが口いっぱいに広がります。
フライケーキがおいしい理由 職人が守り続ける製法の秘密
フライケーキの生地は、薄力粉・強力粉・膨らし粉・砂糖・卵を使ったシンプルな配合です。揚げ油には菜種の白絞油を使っており、くどさがなくあっさりと仕上がります。軽い口当たりと香ばしさは、この生地と油の組み合わせで生まれるおいしさです。 かつては手作業で生地を混ぜていましたが、需要が増えるにつれて業務用ミキサーを導入し、生産が増えてからも変わらない品質を守り続けています。
あんこづくりにも、同じように手間がかけられています。専門業者から仕入れた生餡を、毎日約1時間かけて丁寧に炊き上げるのが創業以来のスタイルです。1日に炊く量は平均約40kgにのぼり、その日に使う分だけを用意するため、常に新鮮な状態で製造されます。あんこが甘すぎると生地の風味が消えてしまうため、甘さを抑えた仕上がりが基本です。素材を絞り、手間を惜しまない姿勢が、現在も変わらないおいしさにつながっています。
フライケーキの食べ方と購入・持ち帰りのポイント
買ってすぐの熱々を店頭でそのまま頬ばるのが、定番の食べ方です。持ち帰った場合は、オーブントースターで軽く温め直すとカリッとした食感が戻ります。冷凍保存もでき、凍ったまま食べると甘さがすっきりして、また違う味わいになるのも魅力です。アイスクリームを添えると溶けたアイスがソース代わりになり、少し贅沢なおやつとして楽しめます。
福住フライケーキは、呉市中通のれんが通り沿い、パルス通りに店を構えています。JR呉駅からは徒歩約15分、広電バスを使う場合は本通3丁目バス停から徒歩2分ほどです。営業時間は10時15分頃から17時頃までで、売り切れ次第閉店となります。定休日は火曜日で、祝日にあたる場合は翌日が休みです。持ち帰ったあとは、できるだけ早めに食べるのがおすすめです。
フライケーキは、戦後の呉で生まれ、70年以上にわたって地元の人々に食べ続けられてきた郷土菓子です。シンプルな材料と変わらない製法が、今も多くの人を引きつけています。呉を訪れた際は、ぜひ揚げたてを店頭で味わってみてください。
ザ・ご当地検定の問題
Q.こしあんを包んだ生地を揚げて作る、広島県呉市の郷土菓子は?
A.フライケーキ









