B級グルメのひとつ「安達太良カレー」は、発想力と地域力にあふれるご当地カレーです。名前の由来となる安達太良山の麓、二本松市岳温泉を中心とした、安達太良高原エリアの飲食店がそれぞれオリジナル開発した個性にあふれるカレーです。
安達太良カレーのルール
安達太良カレーを作るにあたってたったひとつだけ、決まりごとを決めたそうです。「地元福島産の食材だけを使って作る」ことです。ライスとなる米はもちろん、地元で採れた新鮮野菜をはじめ、福島和牛やフルーツなども全て福島産を使用しています。地域の総力を集結して作られたものとなっています。
岳温泉の泉質は全国でも珍しい「酸性泉」
安達太良カレーは、岳温泉を中心とした周辺地域で展開されています。岳温泉(だけおんせん)は、福島県中部にある活火山安達太良山の山麓に広がる高原の温泉郷です。坂上田村麻呂が発見したといわれ、水戸黄門もその効能を誉めたといわれています。温泉保養地として知られ、天然湧泉で、日本では珍しい泉質「酸性泉pH2.5」の湯を蓄えています。
酸性泉とは、特殊成分を含む療養泉に分類されています。多量の水素イオンを含む温泉で、殺菌効果や肌を剥がすなどの新陳代謝の促進に効果があるそうです。皮膚病などに効果が期待できます。ただし、乾燥肌や、肌の弱い人には、ピリピリとした強い刺激を感じることがあるので注意が必要です。自然に囲まれた温泉地となっていて、日本温泉協会アンケートでは自然環境日本一との結果が出ています。岳温泉では、「転地療法」とよばれる、自然に恵まれた温泉地がもたらす効果と、気候・環境・生活リズムの変化によりリラックスした中にも新しい刺激を受け、温泉地に滞在することで、身体機能の活性化を促す企画などを開催しています。
岳温泉にはヒマラヤ大通りというメインストリートがあります。坂道になっており、メインストリートの両脇には数十軒の旅館が立ち並んでいて、道路の真ん中には「流れ川」が流れているという、温泉街の風情に溢れる通りです。坂の上には源泉を集めた温泉神社があり、「流れ川」に沿ったパイプから各旅館へ温泉が供配湯されています。坂の下は、桜坂へとつながり、シンプルな名前の通り足湯となっていて無料で入れる「足だけの湯」があるほか「手だけの湯」もあります。
智恵子が愛した「ほんとの空」
B級グルメ名物の安達太良カレーの由来となる、安達太良山は、標高1699mで、山頂はなだらかですが、小岩峰が突き出ている形から別名「乳首山」とも呼ばれます。「智恵子抄」で有名になった高村智恵子が愛した「ほんとの空」が、この山の上に広がっているのです。
高村智恵子は、福島県二本松市に生家があります。洋画家・紙絵作家だった高村智恵子は、彫刻家の高村光太郎の妻です。「智恵子抄」は夫の高村光太郎が、妻智恵子を四十年にわたり詠んだ詩集です。智恵子は光太郎と同棲を始め、当時珍しい女流油絵画家になりますが、心を病んでしまいます。その要因の一つとして、実家の造り酒屋の破綻があるといわれています。東京での暮らしは智恵子にとって合わなかったらしく、「ほんとの空」を恋しがっていたようです。
智恵子の実家は、市が譲り受け一般に公開し、自然豊かな山に囲まれた静かな住宅街にあり、当時の造り酒屋が再現されています。囲炉裏やかまども当時のままの状態で残されています。智恵子祭りの時は、普段公開されない部屋が公開されるようです。
生家の裏庭には智恵子記念館が建てられています。酒蔵をイメージして作られた建物で、智恵子の様々な作品を見ることができます。紙絵は、智恵子が病気入院中に、夫光太郎からプレセントされた千代紙を使って作られたものです。紙絵は千数百点も残されており、力強い油絵も展示されています。
安達太良カレーと智恵子と岳温泉
福島県B級グルメの安達太良カレーは、高村智恵子が愛した「ほんとの空」がある安達太良山と、そんな智恵子を詠んだ高村光太郎の愛情、そして岳温泉のどこか懐かしさを感じる風情と、全てがあいまって作りだされているのかもしれません。
ザ・ご当地検定の問題
Q. B級グルメの1つ「安達太良カレー」は、どこの名物?
A.福島県