愛媛県今治地方で食べられている「せんざんき」とはどんな食べ物?

愛媛県・今治市はしまなみ海道の四国側の入り口であり、タオル産業が盛んな町。あと、これはちょっと知られてないかもしれませんが、国内最大の海事産業(海運業・造船業・舶用工業)都市でもあります。そんな今治で親しまれている肉料理に「せんざんき」がありますが、一体どんな食べ物なのでしょうか?

「せんざんき」って?

せんざんきとは今治地方で食べられている「鳥のから揚げ」のことで、北海道・釧路市発祥の「ざんぎ」と同じような、「ご当地からあげ」のひとつ。特定の部位だけではなく、鶏の様々な部位の肉を使ったから揚げです。

「せんざんき」という奇妙な名前が付けられた由来は諸説ありますが、はっきりしたことはわかっていないようです。鶏を丸ごと千のように斬るため「千斬切(せんざんき)」と呼ぶようになった説。また藩政時代の人々が、近見山に生息していたキジ肉を使ったという「せんざんキジ」説。一番有力視されているのは、中国語で骨付きからあげを「軟炸鶏(ルアンザーチ)」、骨なしからあげを「清炸鶏(チンザーチ)」と呼ぶそうで、これを「せんざんき」に置き換えたという説ですが、定かではありません。

今治でおいしいせんざんきが食べられるお店

「焼き鳥 まる屋」は今治市内にある人気の焼き鳥店で、おいしい焼き鳥を目当てに連日たくさんの人で賑わいます。こちらのぜんざんきは、しっかりと下味が付けられた大ぶりの鶏肉がサクサクに揚げられ、一口かぶりつけばジューシーな肉汁が口の中いっぱい広がります。三段階の辛さも選べるので、辛い物好きな方はぜひ。

「今治・鉄板焼 やきとり 山鳥(さんちょう)」は1984年から続くお店。しょうゆベースの秘伝のタレに漬けて揚げているせんざんきは骨付きで、薄く衣がつけられています。カリカリの歯ごたえに、塩コショウがしっかりきいて、肉汁も中からじんわりとあふれてきます。骨から出るうまみも感じられ、夢中でかぶりついてしまうおいしさです。

「たかはしやき鳥」は、おいしくてリーズナブルと地元で人気の焼き鳥店。せんざんきもボリュームがあって、食べ応え十分。今治城のすぐそばにあるので、観光のついでに立ち寄れます。

今治は焼き鳥が名物!

ところで、上に紹介したお店は全て焼き鳥屋さんだったように、愛媛県今治市は焼き鳥が名物で「日本三大やきとりの街」の1つに数えられているほど。今治の焼き鳥の特徴は、「串付きの肉を網の上で焼く」という一般的な焼き鳥ではなく、「肉や野菜を鉄板の上で焼く」というもの。約50年前に「五味鳥」という焼き鳥屋で考案されたこの方法は、職人気質で「せっかち」と言われる今治人の気質に合い、多くの支持を得て、2018年現在で今治市内には約70店もの焼き鳥屋があるそうです。これは人口比率からみるととても多く、平成11(1999)年に、今治市は「焼き鳥日本一宣言」をしたこともありました。

ただ鉄板で焼くだけではなく、大きな鉄のコテを肉の上に乗せ、鉄板に押さえつけながら、ジュージューと豪快に焼いていくのが今治焼き鳥のスタイル。こうすると、押し付ける圧力も加わってより早く火が通り、料理が手早く仕上げられ、余分な脂が落ちてよりカリッと美味しく焼けるのだそうです。このスタイルでぜひ食べたい個性的なメニューが「皮焼き」。皮のみを焼いたり、少し肉を残した皮だったり、またネギと最後にネギを合わせたりと、それぞれの店のこだわりを楽しむことができます。

焼き鳥の味付けと言えば「タレ」と「塩」の2種類が一般的ですが、今治焼き鳥では「タレ」を出す店が多いそう。そして、タレもとろりとした甘辛いしょうゆタレ、さらりとしたタレ、おろしタレ、からしタレ……などなど、こちらもお店によって様々に違います。「皮」に始まり「せんざんき」で終わる、というのが今治焼き鳥の通の食べ方だそうです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 愛媛県今治地方で食べられている「せんざんき」とはどんな食べ物?

A. 鳥の唐揚げ