青森県の名産といえば生産量が日本一のリンゴが有名です。日本のリンゴの過半数は青森産といわれるほど、2位以下に大差をつけて首位を独走しています。その陰で意外にも他の果物も生産が日本一なのはあまり知られていません。どんな果物でしょうか。
ニューヨーク生まれの甘いやつ
青森県が全国一の生産量を誇る、黒ブドウの名産品。その名は「スチューベン」です。主に津軽地方の鶴田町や田舎館村で生産されています。ニューヨークの農業試験場が「ウェイン」に「シュリンダン」という品種を交配させて育成されたもので、緯度がほぼ同じで気候が似ている津軽地方に1952年導入されました。今では日本国内におけるスチューベン生産量の実に8割を青森県が生産しています。
スチューベンの1房の重さは200~300g程度、一粒のサイズは3~5gくらいの小粒のブドウで、酸味が少なく高糖度なため、強い甘味が広がります。香りもよく果汁も豊富なため加工にも適しており、粒が多く日持ちが良いというのも魅力のひとつです。
青森県では、完熟状態で収穫されたスチューベンをリンゴの保存技術を応用した専用施設で保存し、真冬の2月でも新鮮なままのスチューベンを出荷することができるので、美味しく食べることができます。また津軽の寒冷な気候と大地はスチューベンの栽培に適しており、ブドウの病害虫対策に薬剤の投入も最小限に抑えることができ、安心安全なブドウとして丸ごとお口に放り込んで、口の中で皮をむき、種ごと食べることができます。
スチューベンの特徴と楽しみ方
ブドウは、西欧ではポリフェノール、クエン酸、鉄分等を多く含んでいることから、「畑のミルク」とも呼ばれます。一般的にポリフェノールや、ブルーベリーに多く含まれることで有名になった色素成分アントシアニンは、色の濃いブドウほど多量に含まれていることが解っています。青森県名産の黒赤色に完熟したスチューベンはこれらの成分を豊富に含み、体にも美味しいブドウです。
スチューベンは糖度18度以上、ときには20度を超えるものもあり、その割には酸味が優しいので、蜂蜜のような甘さを感じることができます。一般的なブドウの糖度は12~14度といわれているので、糖度の高さが分かっていただけるでしょう。
スチューベンを選ぶ場合は、実の色の紫黒色が濃く、表面に白い果粉がしっかり付いてプリッと張りがあるものを選びましょう。軸が青く新鮮なものがよく、枯れているものや実が沢山はずれて軸だけになっているものは鮮度が落ちている可能性があり避けるのが賢明でしょう。スチューベンは日持ちがいい品種としても有名ですが、やはり生果ですのでなるべく早く食べるに越したことはないのですが、保存したい場合は新聞紙やラップで包んで乾燥を防ぎ、冷蔵庫の野菜室などの冷暗所で保存しましょう。
スチューベンの食べ方
スチューベンも他のブドウ同様そのまま食するのが一番です。蜂蜜のような甘さが堪能できます。軽く水洗いをして、皮ごと口に入れます。口の中で実を絞り出すように果肉だけを食べます。種の周りは酸味が強いので、酸味が苦手な人は種を取り除いて食べます。面倒な場合はそのまま種ごと飲込んでも大丈夫です。
スチューベンを加工してジャムやジュースなどに利用する場合は、実だけを加工するのではなく、皮ごと調理すれば、目にも鮮やかできれいな紫色になり、ブドウの美味しさが溢れるようです。
青森県ではこの名産のブドウ、スチューベンを利用した商品も沢山販売されています。完熟スチューベンで作ったワインはジュースの様に甘さが強く食前酒にピッタリものや、酸味が強く肉料理にあうしっかりとした味のものなど、醸造期間によって味わいの異なるワインが醸造されています。
果実を丸ごと味わうような100%スチューベンジュース。オリジナルのスチューベンサイダー。スチューベンを使ったアイスクリームやゼリー、チョコサンドクッキーなどのスイーツ商品も豊富で、さらに日々開発に余念がありません。
そして一番の驚きは「スチューベンビーフカレー」。スチューベンの果汁を使った、ほのかに酸味や甘味がかんじられるという具も大きいレトルトの商品。お土産に一考してはいかがでしょうか。
青森県の名産はリンゴだけではなかった。黒ブドウ、スチューベンもお忘れなく。
青森県はリンゴの名産地の認識を大きく改めなければならなくなってしまいました。ニューヨーク生まれの甘いスチューベン。リンゴの保存技術で冬の間にも楽しむことができるブドウ。青森土産にスチューベンの商品で驚かせるのはどうでしょうか。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 青森県の名産である「スチューベン」とは、どんな果物の名前?
A.ブドウ