薬味としていろいろな料理に色を添え、また防腐作用の効果や、漢方にも活用される万能なシソ。そんなシソの生産量全国1位の県と言えば、愛知県なのを知っていますか?意外と知らないシソの魅力を存分にご紹介します。
(※)農林水産省「地域特産野菜生産状況調査」から作成
大葉?青じそ?その違いは?
「大葉」や「青じそ」、単に「シソ」など、いろいろな呼び方をされるシソですが、それぞれの違いは曖昧な方も多いのではないでしょうか。
実は「紫蘇(シソ)」はシソ科シソ属の植物の総称をいいます。健康食品として知られるエゴマ油でお馴染みの「エゴマ」もシソの一種で、比べて見るとなるほど、色形がそっくりなんです。香りがよく、クセのない味わいが広く受け入れられ、シソといえば一般的に「青紫蘇」や「赤紫蘇」を指すようになりました。
大葉とは青紫蘇の中でも主に葉の部分のことで、ピンク色がきれいな花の部分の「花穂(はなほ)」や、穂の若いものを指す「穂紫蘇(ほじそ)」と区別するために呼ばれ始めたのがきっかけです。今では大葉と呼ばれるのが主流になっている節もあり、一般的な通称となっています。
青紫蘇は「日本のハーブ」とも言われるように、香味野菜として刻んで薬味に使われたり、そのまま刺身のつまや天ぷらなど幅広く取り入れられています。一方赤紫蘇はその色調を利用して、梅干しや紅ショウガの色付けに利用されています。
シソの旬、主な生産地とそのシェアは?
シソの生産量全国1位を誇る愛知県。その多くは豊橋市、次いで豊川市で生産されています。赤紫蘇を含めると、愛知県全体で全国シェアは約4割に上り、大葉だけで挙げると豊橋市の生産量は全国の50%を占めるほどです。その他の地域では、静岡県や大分県などで栽培されています。
1年を通し安定してスーパーで手に入るシソは、主に温室栽培されています。いつでも見かけるため旬が分かりにくい野菜と言えますが、5~8月が本来の旬となります。
家庭菜園などでシソを育てたことがある方はご存知かもしれませんが、シソは勝手にどんどん大きくなります。一度種を蒔けばあまり手をかけなくても育ちますし、毎年こぼれ落ちた種から勝手に芽を出します。雑草のようにどんどん増えていくため、1960年以前は市場にわざわざ出回る野菜ではなかったそうです。1961年以降、静岡県が料亭などの日本料理店に向けて大阪を中心に出荷を始め、一般家庭にも普及していきました。
様々な効能アリ!まさに万能薬なシソ!
薬味としても大活躍のシソですが、その香りは「ペリアルデヒド」と呼ばれる芳香成分によるものです。このペリアルデヒドは強い防腐・殺菌効果を持っていて、食材の傷みが進みやすいシソの旬である初夏から夏にかけて需要があることが分かります。特に生魚をそのまま食べる刺身などは彩りのためだけでなく、このペリアルデヒドの防腐・殺菌効果が期待されるためです。
ちなみに刺身に添えられる「つま」という言葉の由来には、料理の端に置かれるため「端」が転用された説と、夫を支え引き立てる「内助の功」のような夫婦関係に見立てた「妻」からとられた説とがあります。
またシソの清々しい香りは食欲増進にも一役買ってくれるため、夏時期の暑さや冷たいものの飲みすぎによる胃腸不良などで食欲が出ない時に取り入れたい食材です。
実際にシソには嗅覚神経を刺激して胃液の分泌を促す働きや、健胃・整腸作用があるとされます。もともと中国では食用ではなく薬用として栽培されていたこともあり、漢方薬やアトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患にも効果があることが分かっています。
美味しいだけでなく、体にも優しい食材と言えますね。
生産量1位、愛知県のシソで元気に!
お皿に彩りを添えるシソですが、見た目だけでなく、防腐・殺菌効果やアレルギー疾患にも効果が期待される、まさに万能薬といえる食材です。
生産量全国1位を誇る、愛知県のシソ。美味しいシソを取り入れて、健康な生活を送りましょう。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 平成25年、シソの生産量1位の都道府県は?
A.愛知県