長野県の郷土料理「たけのこ汁」に欠かせない意外な食材とは?

たけのこ汁というと多くの人が、たけのこを入れて薄口醤油で味付けをした、たけのこのお吸い物を思い浮かべるかもしれません。しかし、長野県のたけのこ汁は濃いめの味付け。そこに欠かせないのはみなさんもご存知のちょっと意外な食材です。ここでは、たけのこ汁の味や特徴について紹介します。

たけのこ汁はどんな料理?

たけのこ汁は、長野県の多くの人に愛されている郷土料理です。たけのこの他に、具材としてサバ缶を入れます。さらに味は、味噌でつけます。つまり、サバ缶とたけのこの入ったお味噌汁というのが、長野県で一般に食べられているたけのこ汁なのです。サバ缶を、お酒のおつまみとして食べることが多いという人などからすると、サバ缶の入ったみそ汁というのは、あまり味がイメージできないかもしれません。しかし長野出身の人に対して、「故郷に帰って食べたい料理は何か」という質問をすると、多くの人が「たけのこ汁」と答えるそうです。それほど馴染みがあり、また、愛されている料理なのですね。

たけのこ汁で外せない具材は、当たり前ですが、たけのこです。ただし、たけのことは言っても、スーパーで一般的に売られているような太いモウソウチクではなく、ネガマリダケを使うことが特徴です。ネガマリダケというのはチシマザサの新芽で、細長い形状をしています。また、同じ長野県でも一部の地域では、ネガマリダケではなくハチクを用いることもあるようです。ネガマリダケにしてもハチクにしても出回る量が少なく、スーパーでお目にかかることは滅多にありません。その場合は一般的なモウソウチクのたけのこを使用しても、美味しくできます。

サバ缶が入っていることも、たけのこ汁の特徴です。サバ缶は水煮缶を使用する家庭が多いようですが、これも地域や家庭によって異なり、味噌煮缶が使われることもあります。たけのこ汁の作り方は、いたって簡単です。まず、鍋にサバ缶を汁ごと入れます。たけのこも適当な大きさに切って入れます。全体が浸るほどの水を入れたら、鍋を火にかけます。数分煮たら、味噌で味を調えて完成です。あっという間に作ることができる料理にも関わらず、その味は絶品です。たけのこの歯ごたえに、サバの油分とコクが加わり、何とも言えない深い味わいになります。サバ缶を入れることで、ごちそう感と食べ応えがアップするのも、うれしいところです。

また、たけのこ汁は、栄養面でも優れている料理です。たけのこには、食物繊維やチロシンという栄養素などが含まれています。食物繊維は便秘解消が期待できますし、チロシンは集中力を高める働きがあります。サバも、含まれている栄養素が、脳力アップに効果を発揮するということが言われている食材です。加えて味噌は、発酵食品ですから腸の働きを整えます。最近では、認知症予防になるのではといったことも言われていますね。つまり、これら優れた食材が合わさってできたたけのこ汁は、日常的に食べたい、身体に良いパワーを持つ料理なのです。

たけのこ汁が誕生したのには長野ならではのわけが!

それにしても、なぜ長野県でたけのこ汁が作られるようになったのでしょうか。それには、長野ならではの理由があると考えられます。ご存知のように、長野県には海がありません。周囲にはむしろ山が多く、新鮮な魚貝を手に入れることは昔は特に難しいことでした。そのため長野の人は、海や海産物に対する憧れが、他の地域よりも強い傾向にあると言われています。普段食べる味噌汁に日持ちのするサバ缶を入れることで、海のものを何とか口にしようと工夫したのでしょう。もともとは、身欠きニシンが用いられていたようです。

昭和30年代にサバ缶が広まり、たけのこ汁に使ってみたところ美味しかったことから、定番の具材となったとされています。今では海産物を入手することは以前よりも簡単になりましたが、それでもあえてサバ缶を買って、何度でも作ってみたくなるほどの美味しさのたけのこ汁。たけのこが出回る時期に、一度は食べておきたいものですね。

長野県の人の工夫から生まれたたけのこ汁は、何度でも食べたくなる美味しさ

長野県で食べられているたけのこ汁は、たけのこの入った味噌汁に、サバ缶を汁ごと入れるというのが特徴です。最初は、意外な組み合わせに戸惑う人もいるかもしれませんが、食べると美味しさに驚くでしょう。是非実際に、作ってみてはいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 長野県の「たけのこ汁」には欠かせない、変わった食材は?

A.サバ缶