射水市で開発されたブランド梨は富山県の新しいエースになれる逸品です。肥料の種類に工夫を凝らしていることはもちろん、氷温保存法という果実の生存本能を巧みに利用した技術で、抜群の糖度と瑞々しい触感を生み出すことに成功しました。
苦心の末誕生した梨
きららか梨は富山県射水市で生まれたブランド梨です。藤田農園を経営している藤岡正明氏によって開発され、「氷温保存法」という日本初の技術が使われているところに特徴があります。一般的な梨の栽培に化学肥料は欠かせません。しかし、きららか梨の場合は、富山湾の海洋深層水や白えび、生ウニなどを利用した有機肥料が活用されています。海洋深層水を使うことで糖度が上がり、白えび、生ウニなどは梨そのものを丈夫に育てる効果があるのです。さらに、梨を休眠状態にして保存することで梨が自分の身を守るためにアミノ酸を作り出し、糖度が高まっていきます。この梨が死滅する一歩手前の温度に保つ方法こそが「氷温保存法」です。
葉を強くするために、液体肥料やカニのエキスなども与えられています。病害虫対策になるからです。富山県立大学の協力もあり、20年の時を経てようやく完成しました。梨のシーズンは8〜9月ですが、きららか梨は、市場に梨がない時期でも出荷されます。通年でシャキシャキした美味しさを堪能できるというわけです。
際立つ甘さとシャキシャキの触感で大人気
きららか梨は、世界料理サミットに参加したり、ドバイをはじめとした世界中に輸出されたり、と着実にその名を広めています。その圧倒的な甘さと触感はもちろんですが、栄養面も優れています。梨に含まれているカリウムはナトリウムを体外へ放出する働きがあるため、血圧降下作用が期待できます。リンゴ酸やクエン酸による疲労回復効果があり、タンパク質分解酵素を含むことから肉の消化を助けてくれます。ほかにも、便秘の解消や解熱作用があります。そんな梨を保存するコツは、ヘタの部分を下にして冷蔵庫に入れることです。
きららか梨は希少価値の高いブランド品ですが、通販で購入することができます。さらに、きららか梨を使った大福、バームクーヘン、ゼリー、タルト、ロールケーキといったスイーツや日本酒ベースのリキュールも売り出されています。その味や可能性に魅せられた人たちが「きららか梨ファン倶楽部」まで立ち上げました。メンバー参加型のイベントがあり、花粉づけや梨の摘み取り体験などもおこなわれています。
楽しいと美味しいが一度に楽しめる街
きららか梨を生んだ富山県射水市のトレードマークといえば、海の貴婦人と呼ばれる純白の帆船・海王丸です。新湊大橋は富山湾から立山を望める絶景スポットですし、内川に足を運べばいまも色濃く残る港町の風情を味わえます。名産は、きららか梨だけではありません。日本海を目のまえにした富山県ですから、海の幸も豊富です。富山湾のダイヤモンドである白えび、冬の王者として名高いベニズワイガニ、脂の旨味で魅了する寒ブリ、触感が堪らないホタルイカやバイ貝なども楽しめます。市内には多くの料理店があり、キトキトの素材を生かすべく日々腕を磨いています。
祭りも盛んに催されます。春はなんといっても「鏝絵と下条川千本桜まつり」です。夜になれば、ライトアップした桜を眺めながら川面の輝きに酔いしれます。富山新港花火大会が終われば、いよいよ曳山まつりのシーズン到来です。秋分の日から体育の日前日まで数回にわたっておこなわれ、見所満載です。曳山まつりの合間には新湊のカニや白えびの祭りもあり、1年を通じて賑やかです。
キトキトは、きらきら梨にも
富山県といえば日本海の幸で有名です。キトキト、という鮮度の良さを意味する言葉は全国でも知られるようになりました。そのフレーズは新ブランドのきらきら梨にもぴったりです。際立つ甘さと瑞々しい触感で世界中にファンを広げています。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 日本初の「氷温保存法」により一年を通してシャッキリとした歯触りを保てる、富山県の果物ブランドは?
A.きららか梨
Q. 富山県の春の風物詩「鏝絵と下条川千本桜まつり」は、何市で行われる?
A. 射水市