静岡県熱海市にある喫茶店「ボンネット」は、多くの人々に愛されてきた歴史を持つお店です。手作りの名物メニューを目当てに、有名な文豪もこの店の味の虜になっていたそうです。こちらの記事ではそんなボンネットの魅力について紹介していきます。
野菜が別添えなのも嬉しい!ボンネットの名物メニュー
ボンネットの名物メニューといえば手作りのハンバーガーです。それ以外にも、ホットドッグやサンドイッチなどのパンを使ったメニューや、チキンソテーやポークカツなどの肉料理、ナポリタンやオムライスなどの定番メニューも注文できます。ハンバーガーはコーヒーとセットで注文することもでき、どちらもマスターのこだわりがつまった美味しさです。
ハンバーガーのてっぺんにはつまようじでピクルスが刺さっており、見た目のアクセントにもなっています。具材はパティと別に添えて出てくるレタス、玉ねぎで、好きなものを挟んで食べることができます。新鮮な野菜とパティを一緒に挟んで食べれば、具材同士が合わさって美味しいハーモニーを生み出します。具材をパティだけにして食べると、やわらかなバンズと肉のうまみがマッチして、素材の持つ美味しさを堪能できます。
てっぺんに刺さったピクルスは一緒に挟んで食べても良いですし、後からの楽しみに残しておくのも自由です。つけあわせにはポテトが用意されていて、ほっくりとした食感が楽しめます。ハンバーガーとセットで頼めるコーヒーはマスターがサイフォンで淹れており、香りの良さとすっきりとした味わいが特徴的な一杯となっています。
昭和から続く名店!ボンネットに関する豆知識
ボンネットが静岡県の熱海に開店したのは昭和27年(1952年)のことです。店名のボンネットは、イースターパレードという映画の登場人物が被っていた印象的な帽子が由来となっているそうです。日本では1950年に公開されているこの映画は、ジュディ・ガーランドやフレッド・アステアなどのスターが出演しており、華やかなファッションや軽快なダンスが見どころのミュージカルです。ボンネットの店内にはこういったマスターの趣味が感じられる照明や調度品が飾られており、見ているだけでも楽しめます。
マスターはボンネットを創業する以前は進駐軍で働いており、アメリカの音楽や食文化に触れる機会も多かったそうです。ボンネットの看板メニューであるハンバーガーは、アメリカ由来のレシピを日本人の口に合うように改良して提供しはじめた料理です。この頃の日本では、ハンバーガーはまだ世間一般に広まっておらず、観光客や地元の人に受け入れられるかどうかは未知の料理でした。このような目新しい料理を広げるのは、いつの時代もなかなか難しいものです。マスターが店をはじめることを決めた理由には、昭和25年に起きた熱海大火により、熱海が壊滅的な被害を受けたことも関わっているそうです。
熱海の復興とボンネットの創業
当時の熱海は火事によって多くの建物が焼け落ち、警察署や市役所、病院や百貨店などの公共の建物も被害を受けました。そこからの復興を目指して、マスターをはじめとするたくさんの人々が活動をはじめます。そして、これから復興が進めば熱海は観光地としてさらに素晴らしい場所になると考えたマスターは、アメリカの華やかさも伝わるようなハンバーガーも提供する喫茶店として、熱海の繁華街・熱海銀座でボンネットを創業します。
昭和28年には熱海の復興もますます進み、区画整理などにより市の中心部が再建され、道路の整備なども順調に行われていきました。昭和39年には東海道新幹線が開業し、様々な地域の人々が熱海へ訪れやすくなったため、観光地としての人気もぐっと高いものになります。喫茶・ボンネットは、復興により賑やかさを増していく熱海をずっと見守ってきた歴史があります。そして、三島由紀夫や谷崎潤一郎といった文豪も訪れたことがある憩いの場所として、たくさんの方に愛されています。
レトロでほっとする!ボンネットでくつろぎのひと時を
ボンネットは古き良き昭和の時代を思い起こさせるような、レトロな雰囲気が漂う喫茶店です。店内は居心地が良く、コーヒーを飲みながら長居したくなるような趣があります。懐かしい思い出に浸りたくなったら、こちらを訪ねてみるのも良いでしょう。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 熱海の喫茶店『ボンネット』で名物となっている食べ物は?
A.ハンバーガー