広島県の内陸部には、器の大きさがそのまま料理の名前になったという、ユニークな由来を持つ煮物料理があります。野菜や魚介をたっぷり使った素朴な味わいは、地域の行事や食卓に長く根づいてきました。その歴史や背景、食べ方まで詳しくご紹介します。
おはっすんの由来|「八寸」という名前に込められた意味
「おはっすん」という名前は、料理を盛る器の大きさに由来しています。直径八寸、約24センチの漆器の椀に盛っていたことから、その器の寸法がそのまま料理名として定着しました。料理ではなく、盛る器が名前の由来になっているのは、全国的にも珍しい例です。
広島県の内陸部は、浄土真宗の信者である「安芸門徒」が多く暮らす地域として知られており、法事などの仏事で野菜や魚介の煮物がふるまわれる文化と結びつき、この料理が地域に広まっていったとされています。
「はっすん」と「おはっすん」は基本的に同じ料理のことです。丁寧さや親しみを表す「お」を付けるかどうかは地域や家庭によって異なり、広島市周辺では「はっすん」と呼ばれることが多く、北広島町など内陸部では「おはっすん」という呼び方が一般的です。
広島県民に愛され続けるおはっすんの魅力
おはっすんは、冠婚葬祭や法事の席で客人にふるまう料理として、広島の内陸部で根づいてきました。特に祝いの席では、具材を奇数の種類で揃えるという慣習があり、縁起を大切にする地域の文化が料理にも反映されています。食卓に並ぶだけで、場の雰囲気が華やぐ一皿です。
味わいを支えているのが、豊富な具材です。主な具材は、れんこん・ごぼう・こんにゃく・里芋・にんじんなどの根菜類に加え、干ししいたけや魚介が使われます。それぞれの食材の旨味がだしに溶け込み、素材本来の風味を活かした素朴な味わいがあります。
おはっすんには、決まった「正解のレシピ」がありません。鶏肉を加える家庭もあれば、こんぶや油揚げを入れるところもあり、味付けの濃さも家庭によって異なります。母から娘へ、世代をまたいで伝えられてきた料理だからこそ、家庭ごとに味が違っているのも魅力です。
おはっすんの基本レシピと食べ方・アレンジ
おはっすんは、具材をひと口大に切り分けるところから始まる料理です。だし汁・醤油・みりん・砂糖を合わせた煮汁で、弱火でじっくり煮含めるのが基本の手順ですが、火を通しすぎず、それぞれの食感を残すように仕上げるのがポイントになります。
また、季節の野菜を加えるアレンジも楽しめます。春はたけのこ、秋はさつまいもやごぼうを多めに入れると旬の香りが重なり、奥深い味わいです。油揚げを加えるとコクが増し、鶏肉を入れるとボリュームも出ます。だしの量を少し多めにして汁ごと楽しむ食べ方も、広島の家庭では広く見られます。
おはっすんを味わえる店舗・通販・お取り寄せ
おはっすんは、もともと家庭の台所で受け継がれてきた料理です。飲食店の常設メニューとして提供されることは少なく、農業祭りや地域のイベントなど、季節の催しの場でよく見かけることがあります。広島の内陸部を訪れた際には、地元の人々が集う行事をのぞいてみるのもおすすめです。
おはっすんは完成品としての通販流通がほとんどなく、お取り寄せできる商品は確認されていません。ただ、根菜類や干ししいたけ・こんにゃくといった材料は、全国どこでも手に入ります。農林水産省の「うちの郷土料理」ページにもレシピが掲載されているため、自宅でも本格的に再現できます。
広島県内の学校給食でも郷土料理として提供されるほど、おはっすんは地域で親しまれている料理です。内陸部の道の駅や地元スーパーでは、具材となる旬の根菜が手ごろな価格で並んでいます。現地を訪れた際には、地元産の野菜を購入し、自宅でおはっすんを作る楽しみ方もおすすめです。
おはっすんは、器の大きさが名前の由来となった広島県内陸部の郷土煮物です。安芸門徒の文化と結びついた歴史を持ち、祝いの席から日々の食卓まで、地域の暮らしとともに今日まで続いてきました。使う食材はシンプルで、自宅でも再現しやすい料理です。広島の郷土の味を、ご家庭でも手作りで味わってみてください。
ザ・ご当地検定の問題
Q.器の大きさがその名の由来となった、広島県の内陸部で食べられる煮物料理の名前は?
A.おはっすん









