サクサクの衣と噛むとジュワツと出てくる肉汁が美味しいトンカツ。トンカツは日本の食べ物という認識の人も多いと思いますが、ドイツや、オランダ、オーストラリアにもトンカツによく似た料理があるのをご存じですか?今回はその料理を紹介します。
島根とドイツのコラボレーション「シュニッツェル丼」
2012年1月19日に迎えた森鴎外生誕150周年を記念して島根県津和野町とドイツ・ベルリン市のコラボレーションが考えられ、生まれたのが「シュニッツェル丼」です。
生誕150周年に向けた様々な取り組みが津和野町で行われました。森鴎外は津和野町とドイツ・ベルリンを結びつける人物であり、彼の功績もあって津和野町とベルリンは姉妹都市提携を結んでいます。
こうした背景から、津和野町ではドイツ・ベルリンとのコラボレーション丼を作成することにしたのだそうです。
シュニッツェル丼が生まれるまで
いろいろな地域と地域の「食」をコラボレーションして作るどんぶりの事を「来ら丼」と呼ぶそうです。今回紹介する「シュニッツェル丼」も「来ら丼」になります。
津和野町からの依頼で、津和野町とドイツ・ベルリン市のコラボレーションさせたどんぶりを考えてもらえないだろうか。と依頼されたのはポンム・スフレの赤松健二さんと季節料理とくまさの徳政克人さん。最初のお話があったのは、8月中旬。津和野町観光協会さんと協力し、このスタイルになるまで試行錯誤されたようです。「第一回来ら丼試作会」では、3種類の来ら丼を試作しました。
最初に作っていただいたのは、ドイツ料理「シュニッツェル」と日本の卵とじを合わせた丼です。卵どんぶりを作り、ドイツ料理のシュニッツェルをのせ、津和野のわさび漬けをのせました。これが「シュニッツェル丼」です。
次に、ウインナーをドイツ風にカレーパウダーと混ぜ合わせ、ミートソースと絡めたどんぶりを試作してみました。ごはんに、ゆでたソーセージとカレー風味のミートソースにパセリをかけた 「カレーソーセージ丼」を試作したのです。
最後は津和野風グラッシュ丼に挑戦してみました。ドイツの牛丼みたいな感じ。
パプリカ風味の牛肉の煮込み「グーラーシュ」を参考に、スライスした津和野の牛肉のをソテーし、パプリカ入りのトマトソースを加え、醤油やみりんで風味をつけたまさに牛丼「グーラーシュ丼」です。
以上3種を作ったところ、すべての料理が味では評判が良かったものの、「津和野とドイツとのコラボ」と考えた結果、最初に作った「シュニッツェル丼」が良いのではと採用されたそうです。
海外のトンカツ?シュニッツェル
シュニッツェルと聞いてすぐに分かる人は少ないのではないでしょうか。日本ではあまり耳にすることのない料理名ですが、ドイツ、オランダ、オーストリアの肉料理です。東欧からイスラエルやトルコにかけた西アジア圏でも盛んに食べられているヨーロッパの一部では代表的な料理です。
「シュニッツェル」とは、仔牛のヒレ肉や赤身肉を叩いて薄く伸ばしてカツレツにした料理。日本のトンカツに似ていますが、多量の油を使用するいわゆる「揚げ物」ではありません。薄く切った肉をさらにミートハンマーで叩いて薄くし、小麦粉をたっぷりつけ、溶き卵に潜らせてパン粉をつけたら、これをやや多めのバターかラードで揚げ焼きしたものです。
起源は北イタリアで、15世紀にウィーンに伝わったという説。または18世紀にオーストリアのラデツキー将軍が、北イタリアの独立運動鎮圧の際にミラノからレシピを持ち帰ったともいわれ、諸説ありますが定かではありません。
ドイツでは定番の料理で、おもに豚肉のカツレツにいろんなソースをかけて食べます。また豚肉を食べないイスラエルでは豚肉は使わず、七面鳥を使いシュニッツェルが作られています。
ザ・ご当地検定の問題
Q. ドイツ・ベルリン市とコラボレーションした、島根県津和野町のご当地グルメは?
A. シュニッツェル丼