フキの生産量1位の都道府県をご存じですか?日本における自動車工業の中心地として知られている県ですが、実は農業も盛んです。その県とフキの関係について、詳しく見ていきましょう。
愛知県とフキの歴史
フキは数少ない日本原産の野菜で、古くから日本人に親しまれてきた野菜です。独特の香りとほろ苦さが特徴の野菜で、花のつぼみ部分は『ふきのとう』と呼ばれ、春の味覚として知られています。そんなフキがいつ頃から国内で食べられていたかというと、その歴史は平安時代にまで遡ると言われています。愛知県内でのフキの栽培が盛んになったのは明治時代中頃からで、特に愛知県の知多半島はフキの一大産地です。フキは県の伝統野菜にも指定されているほど、いまや愛知県を代表する野菜となっています。
フキは全国に自生する野菜ですが、スーパーマーケットなどに流通しているフキのほとんどは、愛知県東海市生まれの『愛知早生(わせ)フキ』という品種です。この品種は、現在の東海市加木屋町のとある庄屋にて代々受け継がれてきたとされるもので、明治時代に自家栽培に成功してから、あっという間に全国に広まったと言われています。昭和30年代にこの地域の用水路が整備されたことも、普及に勢いがついた要因とされています。
愛知早生フキの特徴とは
愛知県で作られるフキの特徴は、食用である茎の部分がやわらかく、それでいてシャキシャキとした食感も楽しめることです。フキはアクが非常に多く含まれる野菜ですが、これは野生の山フキに多く見られる特徴です。愛知早生フキは、野生種のフキに比べてアクが少なく、フキ独特の香りも弱いため、フキの苦みや香りが苦手という人にとっては比較的食べやすい品種と言えます。
春の味覚として楽しまれるフキですが、これは主に2月から5月頃にかけて収穫されている、『春フキ』と呼ばれるもののことを指します。春フキは主に露地栽培が行われているものです。
しかし、愛知県産のフキは夏のあいだ冷凍保存しておいた種株を8月頃に植えられています。ビニールハウス内の安定した温度の中に種株を植えることで、種株は春が来たと勘違いして発芽を始めます。そうすると10月頃には収穫できるほどに大きく成長するのです。ビニールハウス内であれば冬の寒さの影響も受けづらいため、10月頃から翌年1月頃までは安定した収穫を続けられます。この期間に収穫されたフキは、『秋フキ』と呼ばれます。安定した年2回の収穫が、愛知県がフキの生産量第1位を支えている秘訣と言えます。
フキの食用となる部分は長い茎なので、折れやすくデリケートな野菜です。茎が折れてしまうと市場には出回りません。そのため、フキは収穫から出荷までのすべての作業が手作業で行われています。フキの生産量第1位を維持し続けている愛知県ですが、それは地元の農家の地道な努力と丁寧な作業があってこそなのです。
意外と知らないフキの栄養
フキは食用となる部分の約96パーセントが水分で、不溶性の食物繊維が豊富に含まれているのが特徴です。フキには独特の香りがありますが、これはフキノリドという香り成分が含まれているためです。しかも、このフキノリドはポリフェノールの一種で、胃腸の働きを促し、消化を助けてくれる効果もあります。ほかにも、フキにはβカロテンも含まれており、βカロテンとポリフェノールには抗酸化作用もあります。この抗酸化作用によって、アンチエイジング効果や免疫力アップも期待できます。
フキは愛知県の自慢の野菜だった!
私たちに春の訪れを告げるフキ。それは数少ない日本原産の野菜であり、国内に流通するそのほとんどが、実は愛知県産だったのです。古くから日本で親しまれているこの伝統野菜は、農家の努力と知恵の結晶とも言えます。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 平成25年、フキの生産量1位の都道府県は?
A.愛知県