広島県福山市が全国の5割以上を生産している、おせち料理に欠かせない野菜は?

年末が近づくと、おせちに入れる縁起の良い野菜を探す方が増えてきます。広島県福山市は、国内有数の縁起の良い野菜の産地として知られる地域です。この縁起の良い野菜の生産がなぜ福山に集まったのか、その理由を紹介します。

 

広島県福山市の「くわい」が全国生産5割超と言われる背景と理由

広島県東部の福山市では、昔からくわい作りが受け継がれてきました。水田を活かした栽培が広がり、農家ごとの工夫が重ねられました。手間はかかりますが、作り続ける農家がいたおかげで、地域の特産品として知られています。地元の食文化にも溶け込み、作り方が次の世代へしっかりと受け継がれてきました。

産地化が進んだ背景には、年末の需要と相性が良いという点があります。おせち向けに出荷する時期がはっきりしているため、生産の予定が立てやすくなりました。市場へ届ける流れも整い、農家同士で品質をそろえる工夫も広がっています。取り扱いが増えると販路が広がり、さらに作付けも増えていきました。

全国シェアが伸びた一番の理由は、毎年の供給が安定しているからです。作付けから収穫までの流れを整えやすく、選別や出荷の段取りも共有されてきました。年末に向けて必要量を確保しやすくなったことで、生産地としての評価も上がっています。この流れが続いた結果、福山は安定して出荷できるくわいの産地として定着しました。

広島・福山の「くわい」産地の強みと生産を支える条件

福山地域には、水田を活かした柔らかな土壌と、水の調整がしやすい環境が整っています。こうした条件があるため、形が良く品質の揃ったくわいが育ちます。

農家は栽培中、水位や雑草の手入れを欠かしません。収穫後は泥を落とし、運搬中に傷がつかないよう細心の注意を払って箱詰めを行います。こうして品質を一定に保つことで、市場での信頼が高まり、全国の店舗でも手に入りやすくなりました。

お正月に欠かせない理由と「くわい」が使われる料理

おせち料理でくわいが定番になっている理由は「芽が伸びる」姿に縁起を担ぐためです。新しい年に向けて運を伸ばしたいという気持ちと重なります。煮しめに入ることが多く、ホクホクとした食感が生まれます。

家庭では煮物だけでなく、炒め物や揚げ物でもくわいを楽しめます。煮ればやわらかくなり、出汁の味がよく染み込みます。薄切りにして焼くと、表面が香ばしい仕上がりです。素揚げにすれば、外はカリッと、中はホクッとした口当たりになるのが魅力です。

初めての方は、準備の少ない食べ方から試すと調理もしやすいです。薄切りにして焼き、塩だけでまとめると素材の味が出ます。少量のしょうゆを落とすと香りが立ち、油を使って素揚げにして塩で食べる方法も合います。短時間で仕上がるため、忙しい年末でも取り入れやすいです。

「くわい」をおいしく食べる下ごしらえとアレンジ方法

くわいを選ぶときは、表面が硬く締まっていて、傷が少ないものが調理しやすいでしょう。泥つきのものは乾きにくいので、新聞紙で包んで冷暗所に置くと鮮度が保てます。下処理は皮をむき、切ったら水に軽くさらしてください。えぐみが気になる場合は、下ゆでして湯を替えるとやわらぎます。その後、煮物の味が入りやすくなります。

お正月向けの基本は、下ゆでした後に甘辛く煮る方法です。出汁としょうゆ、みりんで味を調整し、弱めの火でゆっくり火を通してください。煮立てすぎなければ形が崩れにくく、見た目もきれいに保てます。仕上げに少し冷ますと味がよく馴染むようになります。

余った分は、薄切りにして炒めると食感が変わります。ベーコンやきのこ類と合わせれば、手軽なおかずになります。つぶしてポテトの代わりに使い、サラダに混ぜる方法もおすすめです。味付けは塩こしょうをベースにします。しょうゆを少量足すと風味がまとまり、翌日の食卓でも出しやすくなります。

広島県福山市では、栽培の長い歴史に加えて、恵まれた環境や出荷の工夫が整い、年末に欠かせない野菜の産地として定着しました。くわいは、おせちだけでなく、焼き物や揚げ物にもよく合います。芽が伸びる姿に願いを重ねる縁起の良い野菜なので、お正月の一品にすると新年らしさがぐっと増します。年末の買い物で見かけた際は、ぜひお正月の食卓に取り入れてみてください。

ザ・ご当地検定の問題

Q.広島県福山市が全国の5割以上を生産している、おせち料理に欠かせない野菜は?

A.くわい