鹿児島県や宮崎県で食べられている、蒸したもち米と蒸かしたサツマイモを加えて、搗いて固めた餅の名前はなんでしょうか?
「ねりくり」はサツマイモのきなこ餅
鹿児島や宮崎の南九州出身の方が、おばあちゃんがよく作ってくれた・・・とか、母がおやつに出してくれた・・・など、懐かしい味で話題に出るのが「ねりくり」という食べ物。
なかなか他では聞きませんが、この「ねりくり」とは、蒸したもち米や茹でた餅に、蒸したサツマイモを合わせて、搗(つ)いて作るやわらかい芋餅です。
鏡開きの後の鏡餅を使って作ったり、正月後に余って硬くなった餅などを使って作られることも多いのですが、逆に餅つきのついでに作られることもあり、人が集まる際にもよく作られるおやつです。
きな粉をまぶして食べるのがポピュラーなスタイルですが、さらに餡子を包んで食べることもあります。
程よい大きさに丸めて出すこともあれば、容器や大きめの皿に作っておいて、食べる分だけスプーンや箸で掬うこともあります。
「ねったぼ」、「ねったくり」、「からいも餅」など呼び方が違う地域もありますが、みんなが喜ぶ家庭的なおやつです。
簡単!ねりくりの作り方
南九州の郷土料理、ねりくりの作り方は簡単です。
もち米を蒸して作ることもありますが、鏡開きの後に食べるイメージも多いことから、今回は既存の餅を使った作り方を紹介します。
・洗ったサツマイモの皮を厚めに剥いて粗く切り、ひたひたになる位に水を張り茹でます。
・少し柔らかくなったサツマイモの上に餅を乗せ、蓋をしてどちらも柔らかくなるまで茹でます。お湯が多いと柔らかくなりすぎるので、お湯が多い場合は減らしてください。
この時、サツマイモと餅は3:1がベストです。
・茹で上がったらお湯を切り、すり鉢で丁寧につき混ぜます。この時に塩を少々加えたり、砂糖を加えたりと、お好みで味の調整をしてください。
・サツマイモと餅が混ざったら適当な大きさにちぎります。もしくはそのまま皿などに移しあげてもOKです。上からきな粉をまぶしたら、ふわふわ美味しいねりくりの出来上がり。
・お好みで餡子を入れたり添えたりしても美味しくいただけます。
行く先々で名が変わるサツマイモ
鹿児島・宮崎では、サツマイモのことを「甘藷(かんしょ)」や「唐芋(からいも)」と呼びます。
一般的に呼ばれるサツマイモは、もちろん薩摩芋と書き、薩摩から来た芋の意があります。
これは、江戸時代を襲った天保の飢饉の際、薩摩藩が荒れ地でも耕作できる「甘藷」で飢饉を乗り切った、という噂を聞いて、蘭学者「青木昆陽(あおきこんよう)」が「甘藷」の栽培を研究、水稲の栽培が難しい関東各地に奨励していった事から「甘藷」のことを「薩摩芋」と呼ぶようになったそうです。
その「甘藷」は、1600年ごろ、中国からまず沖縄にやってきました。
そして1705年、沖縄から薩摩に持ち込まれ、火山灰が多い九州地方でもよく育ちました。広い地域での栽培が行われ、現在でもサツマイモ生産6位になる熊本をはじめ、九州・西日本ではサツマイモのことを唐から来た芋で「唐芋(からいも)」と呼んでいました。
そして南九州では、元々は中国で呼ばれていた甘い芋という意味の「甘藷」という名前で今も呼んでいます。
サツマイモが行く先々で名前が変わる理由は、その度に時代の食糧難を救ってきた証かもしれません。
宮崎は、甘藷の生産全国4位!
そんな「甘藷」ことサツマイモ。鹿児島県は堂々の全国1位の生産量を誇りますが、宮崎県も全国4位の生産量で、南九州では大変馴染み深い食べ物なのです。
宮崎ではオリジナルブランドの「宮崎紅(みやざきべに)」という品種もあり、おやつ感覚で食べられると国内外で高い評価を得ています。
宮崎の甘藷は、甘みのあるホクホクの食感が人気で、もちろんねりくり作りにもぴったりです。
宮崎の甘藷の特徴として、栄養価が高く食物繊維を多く含み、加熱しても損なわれない抗酸化作用のあるビタミンC、抗酸化物質であるカロチノイドを含んでいることから、美容と健康にも効果が期待できます。
宮崎弁で「ねりくる」とは「つきまぜる」という意味。地元で採れた甘藷をもちもちふわふわにつき混ぜた素朴でおいしい「ねりくり」。ご家庭に余った餅があったら、サツマイモと一緒にこんな食べ方はいかがですか?
ザ・ご当地検定の問題
Q.鹿児島県や宮崎県で食べられる、蒸したもち米に蒸かしたサツマイモを加え搗き固めた餅は?
A.ねりくり