伊勢海老などを殻付きのまま背開きにして焼いた料理とは?

三重県の南東部に位置する伊勢志摩は、日本屈指の伊勢海老の産地です。日本でいう「エビ」は、元々伊勢海老を指していたといわれています。それほど日本に定着してきた伊勢海老。ここでは三重県に伝わる伊勢海老を背開きにして焼き上げた伝統料理をご紹介します。

三重県の伊勢海老漁と鬼殻焼きの作り方

三重県では伊勢海老を県の魚に制定しています。漁の解禁日は一部の地域を除いて10月1日で、漁は4月末まで続きます。漁の方法は、伊勢海老がいそうな場所に狙いを定めて網を張り、頭を網目に引っ掛けて捕まえる刺し網漁です。夜行性なので、網を16時頃に張り、翌朝4時頃に引き揚げます。志摩市の浜島では、漁が解禁となる10月1日に水揚げした伊勢海老を伊勢神宮に奉納し、大漁を願います。漁のピークとなるのは、11~12月です。

伊勢海老は温かい海に棲むため、大型に育つのが特徴です。体長は約30cmにもなりますが、ここまでの大きさに育つまでは約3年かかります。幼生期が300日以上あり、稚海老時代も長いことから養殖が難しく、全ての伊勢海老は天然物となっています。大切な天然資源を守るべく産卵期に漁獲しないよう、三重県では禁漁期間を厳しく定めているのです。ときに他県にナンバー1の座を譲ることもありますが、漁獲量は毎年安定しています。志摩海域は黒潮が運んできてくれる豊かな栄養と藻場のお陰で伊勢海老にとって生息しやすい環境が整っており、ここで獲れる海老の味は日本一だと言われます。

貴重な資源であると共に、曲がった腰に長いひげを持つ容姿が不老長寿を表現するとして、伊勢海老は昔からお祝い事に欠かせない食材として珍重されてきました。伊勢神宮でも古来より、正月のしめ飾りや鏡餅、祝膳などに神饌として使われています。割烹やフレンチレストランなどでは、高級食材として好んで取扱います。様々な調理法がありますが、シンプルな方法で伊勢海老の美味しさをダイレクトに味わえるのが、鬼殻焼きです。

生きた伊勢海老が手に入ったら、15分くらい氷水に入れて絞めます。動かなくなったら海水くらいの塩分濃度にした水を沸かし、伊勢海老を投入します。驚いて暴れるかもしれないので、蓋をしてください。暴れなくなったら酒を少々入れ、吹きこぼれないくらいの火加減で10分ほど茹でます。殻の色が鮮やかなオレンジ色になったらザルに上げて水を切ります。次に身を縦に半分に切る背開きにしますが、とげで手を傷つけないよう軍手などをはめて作業してください。頭の方から包丁の刃先を入れて、力を込めて刃元を落とし、背中の殻まで切ります。ある程度包丁で切れていれば、最後は手で割ることができます。

そして3分ほど素焼きし、醤油とみりん大さじ2と酒大さじ1を煮立たせて作ったタレを塗り、また焼くことを2回繰り返しましょう。焦げ目が付くくらいが目安で、仕上げにタレをさっと塗ると、より美味しいです。本来鬼殻焼きは炭火焼でした。そうすることで殻まで食べられましたが、グリルやオーブンで調理した場合は、身だけを食すことになります。

三重県産の伊勢海老を堪能できる料理店

三重県産の伊勢海老だけを使うことにこだわった料理店が、鳥羽市に店を構える「海鮮蒸し料理 華月」です。注文が入ると、店内にある生簀から生きた伊勢海老を捕まえて調理します。店の名物料理は、暴れる伊勢海老をテーブルにセットした蒸し器に入れて調理する「伊勢海老蒸し」です。蒸し料理がメインの店ですが、もちろん焼き物も揚げ物も用意しています。様々な調理法で伊勢海老づくしを堪能できる「伊勢海老至高コース」もあれば、お一人様に対応したコースもあるので、一人旅で訪れる際も安心です。禁漁時期は食べられないため10~4月に行くのがおすすめですが、天然鮑料理専門店となる5~9月も捨てがたい魅力があります。

秋になったら日本一美味しい伊勢海老を食べに行こう

伊勢志摩の勢海老は例年日本一の漁獲量を誇り、味も日本一だと言われています。大切な資源を守るため、10~4月の漁解禁時期にだけ新鮮な伊勢海老が食べられます。この時期を狙って伊勢志摩へ出かけてみてはいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 伊勢海老などを殻付きのまま背開きにして焼いた料理は?

A. 鬼殻焼き

Q. 三重県の名物「伊勢海老」の特徴として、当てはまらないのは?

A.水温の低い海に棲む