三重県伊賀市と言えば、忍者を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?そんな伊賀での名物料理といわれる鍋料理があるんです。面白そうな鍋料理の歴史と実態について見ていきましょう。
忍者の里として知られる伊賀市
三重県伊賀市は、江戸時代に活躍した服部半蔵をルーツとした忍者文化が語り継がれている街です。伊賀忍者は、「上忍三家」と呼ばれる統率忍者の集まりです。「上忍三家」は、服部・百地・藤林の三氏のことを呼び、厳しい掟のもと行動していました。当地の忍者として、百地三太夫(ももちさんだゆう)もよく知られていますよね。伊賀の忍者は甲賀忍者とはまた違い、忍者を辞めてからほかの地へと降りる抜け忍びを決して許さない忍者社会です。
三重県伊賀市には伊賀忍者屋敷や忍者博物館をはじめ忍者体験ができるスポットも集合しており、多くの観光客が訪れています。今や忍者と言えば、海外からの観光客にも大人気です。伊賀忍者は、催眠術や手品、火薬術などが得意でした。伊賀市の忍者村では、忍者が使っていたとされる道具や忍術について学ぶこともできます。気になるのは、そんな伊賀の忍者が食べていた食事です。日頃から厳しい鍛錬をしている忍者は体力が必須でした。食事においても栄養面に関して留意する必要があったと言えます。幸い伊賀周辺は、関目渓谷や伊勢湾など食材が入手できる豊かな自然に囲まれた地域でした。そのおかげで忍者たちは、飢えることなく栄養を摂って修行や闘いに挑めたというわけです。
伊賀忍者が修行をしていた名張市赤目地区発祥の忍術鍋
伊賀忍者たちは、その昔、三重県の名張市赤目地区にて厳しい修行をしていました。ハイカーに人気の赤目四十八滝という山がありますが、まさにこの辺りに伊賀忍者は潜んでいたのです。この三重県名張市の赤目渓谷で、忍者たちが栄養を付けるために食べていた鍋が、忍術鍋です。百地三太夫(ももちさんだゆう)も、赤目渓谷での修業中にこの鍋を食べたと言われています。当時の忍者たちが闘い生き延びるための体作りに欠かせない料理でした。
忍術鍋は非常に理に適った鍋として語り継がれ、現代でも三重県の名物料理のひとつとなっています。赤目温泉で疲れた体を休めて、そして忍術鍋を食べるという旅のプランも好評です。
忍術鍋の材料と栄養成分
そもそも忍術鍋には、どのような具材が使われているのでしょうか。伊賀地域は山と海の自然に恵まれたエリアです。忍術鍋は、地元伊賀の自然の幸を贅沢に使用した豪快な鍋料理なのです。まずたんぱく質源は、伊賀牛、猪肉ややまどり、キジなどの肉です。そして山で採れる山菜やキノコ類、野菜は山芋などが挙げられます。海では魚貝類も入手できました。肉や魚貝類は力を付けるためには欠かせない食材ですし、キノコや野菜は食物繊維も豊富です。ビタミン類も山菜や野菜で補給が可能です。さらに山芋にはネバネバ成分が含まれており、疲労回復とスタミナアップ効果を得ることができます。忍者たちはこのような充実した食材の鍋を、修行の合間にみんなで集まり食べていたと言われています。
栄養豊富なこうした具材を煮込んだ鍋は、ぽん酢・とろろ卵・赤辛酢味噌の3種類の味付けで楽しむのが現代の忍術鍋の主流です。さっぱりと食欲をそそるポン酢と、甘味のあるとろろ卵、さらにはピリッと刺激ある赤辛酢味噌、それぞれ違った味わいによりさらに箸が進みます。卵も健康には必要な食材ですし、味噌やトウガラシにも栄養がありますよね。具材だけでなくタレまでが、まさにスタミナの付く鍋料理なのです。
疲れたときは忍術鍋でパワーアップを!
三重県伊賀市の名物料理の忍術鍋は、何も忍者だけの栄養補給料理ではありません。仕事に育児に追われストレス社会を生きる現代人にとっても、効率良く美味しく栄養が摂れる料理です。ちょっと疲れを感じたときは、忍術鍋を食べてみませんか?
ザ・ご当地検定の問題
Q. 三重県伊賀市に伝わる鍋料理は?
A.忍術鍋
Q. 三重県の名張市赤目地区にある滝の名前は?
A. 赤目四十八滝