伊勢神宮参拝客のお土産として人気の名物菓子とは?

三重県にある伊勢神宮には、江戸時代以降おかげ参りなど多くの人が参拝に訪れていました。参宮街道沿いには多くの茶店があり、訪れた人たちを、名物菓子でもてなしたと言われています。その名物菓子とは、どんなものなのか紹介します。

創業200年以上の老舗が作る「へんば餅」とは?

「へんば餅」は、有限会社へんばや商店が製造販売している商品です。形状は、丸く平らになっていて、両面に薄く焼き色がついています。おもちには、米粉が使われているため独特の食感があり、中には口溶けのよいこしあんが包まれています。おもちについた焼き目の香ばしさとこしあんのまろやかな甘みがとても合っていて、昔ながらの素朴な味が楽しめます。

「へんば餅」を販売しているへんばや商店は、伊勢市内に4店舗あります。本店は伊勢市小俣町にあり、その店構えは大正初期の頃の面影を残したままです。小俣町は、旧参宮街道に沿いながら、伊勢参宮街道の最終宿場町として栄えていました。今でも、旧参宮街道には、伊勢特有の伝統的な様式の家屋が建ち並び、趣があります。「へんば餅」を味わいながら、そんな町並みも楽しむことができます。

へんばや商店は、1775年(安永4年)に創業しました。創業当初は、参宮街道宮川のほとりの茶店でおもちを売っていました。当時、全国各地から馬などで伊勢神宮を参拝する人たちは、宮川のほとりで馬を返し参拝していたので、いつのまにか「返馬(へんば)もち」と呼ばれるようになり、それが「へんば餅」の名前の由来と言われています。

「伊勢三大餅」を知っていますか?

三重県伊勢のお土産と言えば、「赤福餅」が有名ですが、伊勢にはまだまだたくさんの「名物餅」と呼ばれるものがあります。全国各地からお伊勢参りに訪れる人たちは、旅の疲れを癒し、英気を養うために食べやすく腹持ちがいいお餅をよく食べていたそうです。そのため、参宮街道沿いの茶店ではいろんなお餅でもてなすようになり、それが「名物餅」として今でも多くの人を楽しませています。

名物餅の中には、「伊勢三大餅」と呼ばれるものがあります。先に述べた「へんば餅」と「赤福餅」、それと「二軒茶屋餅」です。「二軒茶屋餅」とは、たっぷりのこしあんを包んだきな粉のおもちです。お餅がやわらかく、すっきりとした甘さと香ばしいきな粉のバランスもよく、食べやすいと人気があります。創業は1575年(天正3年)で、その歴史は400年以上になります。その昔、伊勢神宮参拝のために、伊勢湾を横断して来る人たちの舟着き場があった場所に、お餅を売る茶店の「角屋」とうどん・すしの「湊屋」の二軒だけがあったことから、そこを二軒茶屋と呼び、そのままお餅の名前も「二軒茶屋餅」と呼ばれるようになったそうです。

まだまだある!三重県の名物餅

お伊勢参りには、たくさんの人たちが全国各地から訪れていました。各方面から伊勢神宮につながる参宮街道のうち、特に桑名から伊勢までを別名「餅街道」と呼び、たくさんの茶店で訪れた人たちを名物餅でもてなしていました。桑名や四日市には「安永餅」や「なが餅」があり、亀山には「関の戸」や「志ら玉」、伊勢には「伊勢三大餅」以外にも「太閤出世餅」「岩戸餅」「くうや餅」などがあります。

各店の「名物餅」は、歴史が古いものが多く、形状や原料、味もさまざまです。伊勢神宮を訪れる人の中には、参拝とともに名物餅を楽しみにしている人も多いでしょう。昔ながらの製法で作られているところも多く、今も変わらず、当時の雰囲気を味わいながら名物餅を楽しむことができます。

「へんば餅」と「二軒茶屋餅」は、お土産にぴったり

「へんば餅」や「二軒茶屋餅」をはじめ三重県の名物餅は、行くたびに違うものを選ぶことができ、現地でしか手に入りにくいものもあるので、お土産にもぴったりです。ただし、昔ながらの製法で作られているものは、日持ちしないので注意してください。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 古くから伊勢神宮の参拝客のお土産として人気があった「へんば○○」「二軒茶屋○○」。共通して○に入るのは?

A.餅

Q. 三重県の名物「伊勢三大餅」に含まれないのは?

A.なが餅