三重県の鍋料理「僧兵鍋」で、だし汁に使われるのは?

三重県は、海や山の幸に恵まれた食材の宝庫です。松阪牛や伊勢海老などをはじめ、さまざまな食材があり、地域ごとに食材を活かした料理が作られます。今回は、湯の山温泉に古くから伝わる名物料理「僧兵鍋」を紹介します。

僧兵鍋とはどのような料理?

僧兵鍋は、豚骨でとった出汁に季節の野菜と肉を入れて煮込み、最後は味噌で仕上げる郷土料理です。特徴は、猪や鹿、山鳥などの肉を使用していることで、野生味溢れる豪快な料理となっています。栄養豊富で、動物性のたんぱく質や野菜に含まれる食物繊維やミネラルなどが補給できます。スタミナがつく料理として山嶽寺の僧兵達に食べられていたのがはじまりです。山嶽寺は、三重県の温泉地・湯の山温泉にあるお寺です。僧兵達が食べていた鍋が伝わり、周辺の旅館やホテルで提供されています。古くから温泉地として栄えてきた湯の山温泉は、ピーク時は20を超える宿泊地が立ち並んでいましたが、徐々に衰退し、数を減らしていきました。

何か対策は出来ないかと考えた結果浮上したのが、山嶽寺ゆかりの料理、僧兵鍋です。それまでも各旅館は僧兵鍋を提供していましたが、海鮮風や寄せ鍋風だったりと、レシピはバラバラでした。そこで、「僧兵鍋のコンセプトを統一しよう」ということで、試行錯誤の末、統一されたレシピが完成されました。僧兵鍋は、毎年11月〜3月までの期間限定で、一部の旅館やホテルで食べられます。野生的な味が楽しめる、湯の山温泉の名物料理として有名になったのです。

僧兵鍋の由来と起源

僧兵鍋という名前は、山嶽寺の僧兵達が食べていた鍋に由来しています。山嶽寺は、最澄によって開かれた天台宗山門派の寺院で、多い時には数百人の僧兵を抱える大寺院でした。僧兵とは、寺院を守護するために武装した僧侶の集団のことをいい、武家の侵略などに対して戦いました。この僧兵達が力をつけるため食べていた、猪や鹿、山鳥の肉などを野菜と一緒に煮立てた鍋が僧兵鍋の始まりです。僧兵達が食べたこの鍋が伝わり続け、湯の山温泉の旅館やホテルの人達の手により、豚骨ベースの味噌に、野生動物の肉や季節の野菜を入れた僧兵鍋が完成したのです。

古い歴史をもつ湯の山温泉は、イベントも充実

僧兵鍋ゆかりの山嶽寺は湯の山温泉の中にあります。開湯718年という、非常に古い歴史をもつ温泉です。言い伝えでは、天台宗の行者、浄薫和尚が薬師如来からお告げを受け、発見したと伝えられています。別名「鹿の湯」と呼ばれ、傷ついた鹿が傷を癒したことが由来だそうです。泉質はアルカリ性ラジウム泉で、胃腸や神経痛、外傷に効果があります。また、美肌の湯としても知られているため、女性に人気です。10を超える温泉や旅館には、四季折々の景観が楽しめる露天風呂や大浴場があります。

自然を満喫できるウォーキングをはじめ、さまざまなイベントが開かれています。中でも一番人気のイベントが、毎年10月に行われる僧兵祭りです。山嶽寺の僧兵にちなんだ県下最大の火祭りで、炎が激しく燃えるたいまつがつけられた神輿を担ぎ、僧兵装束に身を包んだ男性達が、温泉街の約2Kmの道を練り歩きます。数十本のたいまつを乗せた神輿は600Kgを超える重さです。大迫力の僧兵太鼓が披露され、打上げ花火もあがる勇壮な祭りとなります。また、山嶽寺は、江戸時代から語り継がれる折鶴伝説が有名です。折鶴伝説とは、大店の一人娘の葵と、使用人の左吉の恋の物語です。結ばれない恋が成就したという言い伝えから、恋結びの神社としてパワースポットとなっています。

僧兵鍋は三重県の歴史が育んだ名物料理

僧兵達の食文化から生まれた僧兵鍋は、山の幸をふんだんに使用した豪快な料理です。湯の山温泉がある御在所岳は、公園やキャンプ場もあります。四季折々の自然を満喫できる湯の山温泉を訪れたら、是非僧兵鍋を食べてみてください。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 三重県の鍋料理「僧兵鍋」。普通、だし汁に使われるのは?

A.豚骨