東京の真南に位置し、程よい距離のため都心からの観光客も多い神奈川県。外国の文化が入り混じり、多彩な食文化が形成されています。今回は、神奈川県相模原市で古くから食べられている郷土料理を紹介します。
地元の美味しい食材が楽しめる郷土料理
その郷土料理は、「かんこ焼き」と呼ばれます。かんこ焼きとは、地元で取れた野菜や山菜などの具を小麦粉の皮で包み、軽く蒸した後で焼き上げた郷土料理です。おやきと似ていますが、かんこ焼きは、蒸した後に焼く点で違います。また、バリエーションはさまざまで、具は地元で採れる季節ものを使うため、季節により変わります。小豆餡が入っていたり、かぼちゃ、キノコなどの野菜、フキなどの山菜など、旬のものが使われます。もちもちで香ばしい皮と、地元の美味しい食材が楽しめる素朴な郷土料理です。かんこ焼という名前の由来は、雅楽で使用される「羯鼓」という太鼓に似ているという説や、「乾粉」からきているという説など、諸説あります。
江戸時代には、昼食やおやつとして親しまれていたかんこ焼き。しかし、時代や食生活の変化とともに、食べられることは少なくなりました。転機が訪れたのは1990年頃。町おこしの一環で、一度廃れた郷土料理を蘇らせることになり、かんこ焼きに白羽の矢がたったのです。企業組合が立ち上げられ、地元の女性により製造と販売がされるようになりました。津久井湖観光センターと鳥居原ふれあいの館で販売される他に、物産展や観光展などにも出された結果、かんこ焼きは徐々に浸透していきました。2007年には、農林水産省が主催する、農山漁村の郷土料理百選に神奈川県の郷土料理として選ばれたのです。
どのようにして生まれたの?かんこ焼きの歴史
かんこ焼きが食べられていた神奈川県相模原市(当時の津久井)は、神奈川県の北西部に位置する町で、山や森林、湖に囲まれ自然に恵まれていました。麦や豆、芋などの栽培が盛んで、特に有名なのが、幻の豆と言われる津久井在来大豆。甘みが強いことからそのまま食べてもおいしいだけではなく、餡子や味噌などにも加工されていました。しかし、津久井市は稲作には適さない土地柄のため、米は貴重でした。このような背景からかんこ焼きが生まれ、米の代用品として食べられてきたのです。江戸時代には、うるか(あゆのはらわたの塩漬け)や味噌を皮に包んで焼き、昼食やおやつとして重宝されたそうです。かんこ焼きは、津久井の人々の生活になくてはならない食べ物として親しまれてきました。
相模原市のおすすめ観光スポット
神奈川県には、有名な施設や史跡、温泉地が点在しています。日本ではじめて幕府が開かれ、歴史を感じられる史跡やお寺が見所の鎌倉。開港から多様な文化が入り混じる横浜市には、中華街やアメリカ村など異国の雰囲気を感じる場所がたくさん。自然が満喫でき、温泉が有名な箱根など、1日では周りきれない程多いのです。もちろん、かんこ焼き発祥の地、相模原市にも観光スポットがたくさんあります。観光地としての特徴は、山や湖などが点在するため、自然を満喫できる場所が多いことです。楽しみ方は、山から見える景色を眺めたり、ゆっくりと遊歩道を散策するなど、さまざまです。
相模原市の観光スポットで特におすすめなのが、相模原湖です。都心から車で1時間ほどの距離なので、気軽に出かけられます。相模原市緑区にある、さがみ湖リゾートプレジャーフォレストは、家族で楽しめる施設です。遊園地エリアとキャンプ・バーベキューエリアの二つの施設があり、一日中遊べる観光スポットです。また、冬季限定のイルミネーションイベント、相模湖イルミリオンは、家族はもちろん、カップルも楽しめます。約600万個の電球が、夜の木々や花などの自然を照らし、幻想的な風景を演出してくれます。
「かんこ焼き」は、相模原市の食を支えてきた郷土料理
古くから親しまれ、食を支えてきたかんこ焼き。米が貴重な土地で、どうすれば食に困らないのかを考えた結果生まれた、人々の知恵が詰まった食べ物といえます。相模原市を訪れた際は、ぜひ食べてみてはいかがでしょうか?
ザ・ご当地検定の問題
Q. 神奈川県相模原市の郷土料理である、小麦粉の皮で山菜やキノコなどを包んで焼いた料理は?
A.かんこ焼き