愛知県のグルメには、きしめん、味噌煮込みうどんなどがありますが、味仙というお店のまかないとして誕生したグルメも、ナゴヤメシとして人気があります。愛知県の人は味仙に行くと、必ずと言っていいくらいこれを注文するそうです。
80年代後半の激辛ブームで人気に
そのご当地グルメは「台湾ラーメン」です。発祥の店「味仙」は、1960年の創業以来地元の人々に親しまれてきました。元々は、今池店の主人だった郭明優さんが、辛いものが好きな従業員のまかないとして、台湾の小皿に盛って食べる担仔麺(タンツーメン)という料理を激辛にアレンジしたものだっだそうです。それを見た常連のお客さんの一人が「おいしそう、食べたい」といったことをきっかけに、メニューに加えたのが、台湾ラーメンのはじまりです。ですから、台湾ラーメンといっても、台湾で食べられているわけではありません。台湾人の郭さんが作ったから台湾ラーメンというのが、名前の由来です。
当初は一部の常連客の間だけの人気メニューでしたが、80年代後半に激辛ブームが巻き起こり、台湾ラーメンが注目されるようになってきました。この頃から、味仙で修行をして独立した方、ブームの人気にあやかった方などが、それぞれ自分のお店で台湾ラーメンというメニューを出して、だんだんと広まっていったのです。味仙の経営者が「台湾ラーメン」という名前を、他の店で使うことを厭わなかったことが、台湾ラーメンの知名度アップにつながっているといえるのかもしれません。
台湾ラーメンってどんなラーメン?
味仙の基本的な台湾ラーメンは、とにかく辛いのが特徴です。辛さの元は唐辛子です。小ぶりの白いどんぶりに、醤油ベースの鶏ガラスープ、麺の上にミンチとニラがたっぷり、ミンチにはニンニク、唐辛子が混ぜてあります。コク深い味わいと、舌がしびれるような辛さ、一気にすすると咳き込んでむせてしまうほどです。時には、あまりの辛さに涙ぐみながら、ラーメンを食べるお客さんもいます。しかし、一度食べるとクセになってしまう辛さです。その激辛の濃い味が、愛知県民の味覚とハートをわしづかみにしています。
ただ、激辛は苦手だけれども、どうしても台湾ラーメンを味わいたいというお客さんのために、辛さひかえめの「アメリカン」というメニューもあるのです。もちろん、コーヒーのアメリカン=薄いという意味から名付けられました。しかし、辛くないわけではないので、注意が必要です。また、「イタリアン」というメニューもあります。実は、イタリアのエスプレッソから来ています。濃い、つまり通常より辛いというわけです。ネーミングに遊び心が感じられますね。
台湾ラーメンの進化
台湾ラーメンは元々醤油ベースだったのですが、お店によっては、「味噌台湾」「とんこつ台湾」など、バラエティーに富んだメニューを提供しています。2000年以降、認知度が高まってきたのが、「台湾まぜそば」です。汁なしの麺の上に、味付けしたミンチ、生卵、海苔などを載せて、かき混ぜていただきます。残った具材のなかに、ご飯を入れて食べる「追い飯」も人気です。愛知県内のラーメン店では、多くのお店が台湾ラーメンを提供していますが、そうでないお店もあるので気をつけてください。味仙は徐々に店舗を増やし、愛知県ではすっかり有名店として定着しています。味仙の台湾ラーメンは本店の公式サイトで入手できます。生麺と特製ミンチがセットになっているので便利です。ご家庭でお店の味が堪能できるなんて、嬉しいかぎりですね。ぜひ、辛さに挑戦してみてください。
辛さがクセになる台湾ラーメン、ぜひご賞味ください
台湾ラーメンは、県内でも名古屋市内だけのものだったのが、近年では全国区となっています。小さな料理店の店主の、ちょっとしたアイディアが大きな奇跡につながっているのです。味仙は、台湾ラーメンだけでなく、他の料理もとっても美味しいと評判です。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 名古屋市にある台湾料理店『味仙』の賄いとして誕生した、愛知県のご当地メニューは?
A.台湾ラーメン
Q. 残った具材のなかに、ご飯を入れて食べる「台湾まぜそば」の食べ方を何という?
A.追い飯